問題の早期発見・改善につながる業務プロセスの「見える化」とは?

昨今、ビジネスシーンでよく聞かれる「見える化」という言葉。多くの人が使っていますが、具体的にどういうことか説明しようとすると難しいという方も少なくないのではないでしょうか。今回はこの「見える化」という言葉の由来やその効果、実践方法についてご紹介します。

「見える化」とは何か

「見える化」とは、問題が発生した際にすぐわかるように、仕事のプロセスを「見える」ようにして問題の発生を防ぐという意味です。
「見える化」という言葉はもともとトヨタ自動車で使われ始めたとされており、他社も追随し多くのビジネス現場に広がりました。トヨタ自動車では、製造工程で異常があれば、機械が止まり「アンドン(異常表示板)」で知らせる「あんどん方式」が採られています。視覚的にすぐさま異常を察知できるため、問題が発生した際の原因追求や再発の防止が容易になっているのが特徴です。

当初、製造や生産の現場で広がりましたが、現在ではさまざまな分野で「見える化」に取り組む動きが見られます。

見える化の例とは

企業や組織において深刻化するサイバー攻撃の「見える化」が挙げられます。攻撃元や攻撃先、攻撃の種類などをリアルタイムで表示するツールを導入することで、迅速な察知を目指します。
農業の分野では、ドローンで空撮した画像を分析し、圃場(ほじょう)の土壌や生育の状況を把握するという「見える化」への取り組みが行われています。圃場全体の生育状況を細かく知ることができれば、生育の悪い所には肥料を多くするといった施肥の調整が可能になり、また、収集したデータは土壌改良にも生かすことができます。
国土交通省では、都市鉄道の遅延状況を視覚的に表示し、公表しています。

このように業種や分野を問わず、問題の早期発見と改善に向けた取り組みとして「見える化」が活用されています。

「見える化」と「可視化」

「見える化」と同じような意味にとらえられる言葉の1つに「可視化」があります。混同しがちですが、実際には意図するものが異なります。

“問題の「可視化」”と、“問題の「見える化」”という2つの表現を区別する場合には、本来、以下のような違いがあるとされています。

  • 「可視化」……問題を見たいときに見えるようにする。分析等で一時的に視覚化する場合を含む。
  • 「見える化」……常に問題が見える状態にしておく。どんな状況下にあっても、チェックできる状態にある。

すなわち、「可視化」よりも「見える化」のほうが、常時「観察する」「監視する」といった意味合いが強いと言えるでしょう。

「見える化」がもたらす効果とは

企業や組織において「見える化」を実施すると、代表的なものとして次のような3つの効果が期待できます。

  • 問題の発生が瞬時にわかる
    常に問題がはっきり見えるようにしておくことで、異常が発生した際にいち早く発見できる。
  • 原因の追求、再発防止がしやすくなる
    問題をすぐに発見できるので、原因のトレースがしやすい。また、原因が見つかれば、再発防止もしやすい。
  • 不正防止につながる
    機器・備品などの利用状況を見える化することで、不正利用を防げる。

問題を早く発見し、原因のトレースがスムーズに進めば無駄なリソースを割くことが減り、ほかの重要なタスクに費やすことが可能になるでしょう。

「見える化」の実践方法

では、実際に「見える化」を取り入れる手順を見てみましょう。以下のような7つのステップで、問題の早期発見・改善に務めます。また、このようなPDCAサイクルを繰り返すことで、生産性の向上につながります。

  1. 目的の明確化
    「見える化」の導入を行うためには、「目的の明確化」がとても重要です。達成したいのは何で、そのために何を見えるようにするのかはっきりさせてから、見える化に着手しましょう。

  2. 現状の把握・分析
    1.で明確にした目的と現状を照らし合わせて分析します。例えば、製造現場での不良品の発生が問題になっている場合、どういった欠陥がどの程度の頻度でどのくらいの数量が発生しているのかを確認します。

  3. 「見える化」の実施
    1.~2.で確認した点を踏まえ、問題点を解決できるシステムを作ります。製造現場での不良品発生を防ぐのが目的であれば、どの工程が常に見える状態になると不良品発生を抑えられるかを確認し、「見える化」に着手します。

  4. 問題・課題の発見
    「見える化」を実施した後に、予想より不良品の発生が減らないなどの問題が生じることがあるかもしれません。実施後の検証を行いながら、求める結果に沿っているか、再検討すべき問題はないかなど確認します。

  5. 解決策の考案
    現行の「見える化」システムに問題や課題があれば、その解決策を考えます。思ったよりも不良品の発生が減らない場合、さらに別の工程を常に見える状態にする必要があるかもしれません。そういった新たな方法を探ります。

  6. 解決策の実行、効果の検証
    解決策を実行し、問題が解消されたかを確認します。

  7. 「見える化」の手法の見直し
    6.で効果が確認できなかった場合は、「見える化」の手法を見直します。効果が確認できた場合も、なぜ状況を改善できたのかを分析し、業務における「見える化」システムの構築やその運用に生かします。

IoTで問題の発見がさらにスピーディーに

さまざまなメリットをもたらす「見える化」。ビジネスシーン以外でも多くの取り組みが見られます。IoT時代を迎えた今、センサーや画像認識の技術が発展し、「見える化」の手段も進歩しています。今後、こうした技術によって問題をより迅速に発見できるようになり、原因の追求や分析の精度も上がっていくでしょう。

 

参考:

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