CS向上のカギは「事前期待」にあり~後編~

前編で、CS向上のカギは、お客様の「事前期待」を把握することである旨や、CSと事前期待の関係、事前期待の種類についてお伝えしました。

前編でも触れておりますが、CS向上を考える上で特に大事な要素が、「お客様のサービスに対する期待値の抱き方」つまりお客様の「事前期待の持ち方」を考えることです。サービス提供現場の従業員(以下、オペレーター)がお客様に応対するとき、この考え方を意識し、サービスを提供することで、CS向上に大きな影響を与えると弊社は考えています。この記事では、4つある「事前期待の持ち方」を紹介し、CS向上に役立つポイントをお伝えします。

 

4種類の「事前期待の持ち方」

「事前期待の持ち方」は、「共通的な事前期待」「個別的な事前期待」「状況で変化する事前期待」「潜在的な事前期待」の4つあります。それぞれポイントを見ていきましょう。

 
1.共通的な事前期待

共通的な事前期待とは、「お客様が共通に持つ期待値」のことです。例えば、お客様が、あるコールセンターに電話した際に、お客様全員が抱いている期待を考えてみてください。

「電話に出てほしい」「正確に案内をしてほしい」などが、想起されるかと思います。このような期待値は当たり前すぎて、ほとんどのお客様が、無意識に抱いているかもしれません。このように、お客様がサービスに対し「当たり前に備わっていてほしい」と感じる期待値のことを、共通的な事前期待といいます。共通的な事前期待は、そのサービスを利用するお客様全員が持っている期待値のため、この事前期待を満たせないセンターや店舗は、著しくCSを下げている可能性があります。

共通的な事前期待を満たすサービスは、「当たり前のサービス」です。自分たちのサービスにおけるお客様目線の「当たり前」を考えて、その当たり前の要素を、運用マニュアルや運用ルールに、抜け漏れなく盛り込むことが重要です。そして、誰もが、同じサービスを提供できるように、そのマニュアルやルールに基づいた教育をオペレーターに提供することが必要です。

 

2.個別的な事前期待

個別的な事前期待とは、「お客様ごとに個別に持つ期待値」のことです。お客様の性格や価値観によって、期待するサービスの内容は変わります。例えば、あなたが、旅行へ行く際に、ホテルを予約したいと思いました。その時、あなたがホテルを選ぶ上で、最も重視する条件は何でしょうか?

「安い」「部屋が広い」「食事がおいしい」「眺めがよい」「硬い枕がよい」など、人それぞれ求める条件は違いますよね?事前期待は十人十色、事前期待は人によって変化します。お客様は、ある程度共通した事前期待を持ち合わせますが、それは、本当にサービスに求める最低限(当たり前)のポイントです。より高いCSを求めるなら、一人一人に合わせたサービス提供が重要です。

個別的な事前期待を満たすためには、お客様の特徴や行動、アンケート結果などをしっかり記録し、データベース化することが大切です。そして、その情報から、「このお客様は、せっかちだから迅速な応対をしよう」「初心者だから丁寧に説明しよう」「あらかじめ硬い枕を用意しよう」などと、お客様に合わせた対応が、できるようになります。日々の応対に記録をつけることは、単純作業に見られがちですが、一人一人に合わせたサービス実現には、とても重要な作業です。

 

3.状況で変化する事前期待

状況で変化する事前期待とは「お客様の状況によって変わる期待値」のことです。この期待値を考える上で重要なのは、たとえ同じ人であっても、時と場合によって、期待値が変わるということです。例えば、「せっかちな性格のお客様」から、あるコールセンターに、電話が掛かってきました。その応対中、背後から赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて、少しそのお客様も戸惑っている様子でした。その際に、このお客様が持つ事前期待は、どのようなことが想像できますか?

普段は「迅速かつ効率的な対応」を求めるお客様かもしれませんが、この時は「案内を止めてもらい、子供をあやしたい」や「子供の声で案内が聞こえづらいため、ゆっくりかつ大きな声で話してもらいたい」などと、普段思っていない期待を感じる可能性がありますよね?たとえ同じ人でもあっても、毎回、同じ応対をしていれば良いという考え方は、CS向上を目指す上で、適切ではありません。お客様の状況(体調、気持ち、アクシデント)によって、お客様の期待は変わります。いち早く状況を察知し、それに合わせた応対を行うことで、我々のサービスが、お客様に価値のあるモノだと感じてもらえる可能性を高めます。

状況で変化する事前期待を満たすためには、お客様の状況を察知する能力を養う必要があります。これには、日々のトレーニングしかありません。オペレーターがこの事前期待を意識して、日々接客することや、実際の具体的な事例を用いて、定期的にお客様を想像させる練習を行うことが、オペレーターの状況察知能力を高めるポイントです。

 

4.潜在的な事前期待

潜在的な事前期待とは、「お客様自身も気づいていない期待値(顕在化していない期待値)」のことです。

この事前期待を満たすと、お客様は感動します例えば、世界規模で展開しているコーヒーチェーン、スターバックスコーヒーの店員が、実際に提供した、あるサービスの事例をご紹介します。

私の友人が、就職活動中に、スターバックスコーヒーへ寄った際、店員さんに「会社帰りですか?」と質問され、「いえ、就活中です。」と回答しました。その後、友人がコーヒーの紙カップを受け取ると、そこに「就活がんばってください!」と、手書きでメッセージが書かれており、とても感動した、

とのことでした。

この時、友人は「紙カップへ応援のメッセージを書いてもらいたい」と期待していたかというと、そうは思っていませんでした。しかし、「常連でもない自分に、わざわざメッセージを書いてくれたことに対し、大きく感動した!」とのことでした。このように、お客様自身も気づいていない(潜在的)事前期待を満たすことができると、お客様は感動し、そのサービスのファンになってもらえる可能性を高めます。

潜在的な事前期待を満たすためには、「オペレーター(自分)は知っているが、お客様は知らない」情報やサービスを提供することが必要です。そのためには、前述したスターバックスの事例のような、お客様に感動を与えた、とても感謝された事例を蓄積することが重要です。それをオペレーター全体へ展開することにより、「オペレーター(自分)は知っていて、お客様は知らない」サービスが、オペレーターの知識として増えていきます。

<<CS向上のカギは「事前期待」にあり~前編~ >>

第1に取り組むべきサービスのポイントとは?

弊社では、第1に「共通的な事前期待」と「個別的な事前期待」を満たすサービスを、高い確率で実施できるようにすることをオススメしています。なぜなら、「共通的な事前期待」と「個別的な事前期待」は他の2つに比べて、お客様の事前期待を満たせる確率が高く、しっかり整備さえすれば、お客様に大きな不満を感じさせないサービスを構築することができるからです。

「状況で変化する事前期待」「潜在的な事前期待」を満たすサービスは、前述の2つの事前期待と比べて、お客様の期待を満たせる確率が低く、サービスの精度を高めるのに、とても時間が掛かります。

まずは、基礎的な「共通的な事前期待」「個別的な事前期待」を固め、その後に、この2つに取り組むことを、弊社ではオススメします。

 

弊社では、サービスサイエンス及び事前期待の考え方を取り入れたコンタクトセンターの応対品質コンサルティングを行っております。電話はもちろんメールやチャットについても、応対品質調査やベンチマーク調査、研修などを承っております。

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