顧客心理をマーケティングの成果に活かす!プロスペクト理論とは?

顧客心理をマーケティングの成果に活かす!プロスペクト理論とは?

マーケティングの成果を高めるためには、顧客心理を理解して施策を設計していく必要があります。

顧客心理を把握するためのアプローチ法としてさまざまな理論が提唱されています。なかでも「プロスペクト理論」は汎用性が高く、業種や業界を問わず活用できるとして注目を集めています。プロスペクト理論によってマーケティング成果を高めるためのポイントを探ってみましょう。

プロスペクト理論とは?

プロスペクト理論は本来、行動経済学の代表的な理論であり、投資やギャンブルで応用されていました。しかし、近年ではマーケティング手法として着目され、購買意欲を高めるアプローチ法として活用されています。

プロスペクトとは、「予想」「見通し」「展望」といった意味を持つ英単語です。プロスペクト理論では、人の意思決定に関わるプロセスをモデル化し、「人は利益を得られる場面ではリスク回避を優先し、損失をこうむる場面ではできるかぎり損失を回避しようとする傾向がある」と結論付けています。つまり、「人は得をするよりも損をしたくないという思いのほうが強い」という考え方です。

こ人の意思決定は、大別すると「リスク回避」と「損失回避」に分けることができ、利益を得る場面においてはリスク回避の傾向が強く、損失を被る場面では損失回避の方向で判断を下すとされるのがプロスペクト理論の概念です。

マーケティング活用法:価格設定編

では実際に、プロスペクト理論をマーケティングにどう活用するのかを考えてみましょう。

はじめに、価格設定への応用です。この場合、「参照価格(ある商品に関して、消費者の心のなかで妥当と思われる金額)」を重要視した価格設定がポイントとなります。

参照価格と実際の金額との差によって、消費者は得損を判断しています。もし参照価格よりも高い金額で流通させると、消費者の「損をしたくない」という心理が働きます。すると、商品やサービスの価値を検討する以前に、購入対象からはずしてしまう可能性があるのです。こうした理由から、消費者に損を感じさせず、むしろお得であると感じてもらうには、参照価格に沿った価格設定を行う必要があるというわけです。

また、価格面のプロモーションにおいても、人の心理をとらえた展開が検討できます。たとえば、「今、買わなければ損をする」という心理をふまえた「期間限定キャンペーン」や、「失敗しても返金してくれるから安心」という心理を想定した「全額返金キャンペーン」などがあります。どちらのキャンペーンもプロスペクト理論における「損失回避性」、「リスク回避性」を上手におさえたプロモーションといえるでしょう。ただし、こうしたキャンペーンを高頻度で開催してしまうと、参照価格に影響が出てしまうので注意が必要です。

マーケティング活用法:価値訴求編

次に、プロスペクト理論の応用で、大きな効果が期待できるのが「価値訴求」へのアプローチです。商品やサービスの価値をどのように訴求していくかは、マーケティングの基本であるとともに、最も重要な要素ともいえます。そこで、プロスペクト理論をベースに、「フレーミング効果」を活用した価値訴求の施策を考えてみましょう。

「フレーミング効果」とは、プロスペクト理論と同様に、行動経済学から提唱された心理作用のひとつです。「対象が同一でも、どこにフォーカスをあてるかによって、人の印象は大きく変わる」という理論にもとづいています。

例えば、「成功率90%の手術と、100人のうち10人が死亡する手術では、どちらを選ぶか」という問いを投げかけたとき、多くの場合は前者を選択します。実際には、どちらも同確率であり、差はありません。しかし、成功率か失敗率かというフォーカスポイントの違いによって、印象が大きく変わるのです。

「プロスペクト理論」と「フレーミング効果」を併用した訴求メッセージを考える場合、それぞれの心理作用をふまえた内容にします。What(何を伝えるか)に関しては、プロスペクト理論の「人は損をしたくない」という心理にもとづいて内容を決定し、How(どう伝えるか)に関してはフレーミング効果を考慮したフォーカスポイントを探ります。

よくある事例としては、「顧客満足度95%」という競合優位性をアピールするメッセージでしょう。「ほかの人も満足しているから安心(=失敗のリスクが低い)」というリスク回避の心理とともに、「不満足」ではなく、「満足度」にフォーカスすることで、消費者に好印象を与えることに成功しています。自社の商品・サービスの特性を分析し、どのようなメッセージを開発できるのか、プロスペクト理論とフレーミング効果にもとづいて考えてみましょう。

損失回避性に注目して購買意欲を高めよう

同じ商品・サービスでも、どのように訴求するかによって、消費者の購買意欲は大きく変わります。つまり、優れた商品やサービスを開発しても、伝え方次第で売れゆきが異なるということ。「人は得をするよりも、損をしたくない」という心理を上手に活用しながら、消費者の購買意欲を高めていきましょう。

 

参考:

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