顧客データを活用して結果を出すCRM分析の基本

顧客データをしっかりと活用していますか? 顧客リストとして請求書や製品の案内の宛名にだけ使っているのは宝の持ち腐れです。適切な方法でデータ分析して役立てることによりさらなる顧客満足度の向上、ひいては企業全体の売上増につなげられる可能も秘めています。ここでは顧客データの分析をする際に知っておくべきことと、CRMを活用した顧客データの分析手法の基本をご紹介します。

顧客について知っておくべきこと

顧客データベースを持たない会社は存在しないでしょう。個人商店などでは台帳という紙の記録簿やエクセルで管理していることが多いと思いますが、多くの企業はIT部門の管理のもと、立派な顧客データベースを構築しているはずです。その情報について考えてみましょう。

どのような情報が記録されているか

次の10項目は営業活動や施策運営上知っておくべき顧客情報です。しかし、実際はどう活用されているか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

  1. 個人情報(名前、住所)
  2. 商品購入の時期
  3. 購入商品と点数、金額とその推移
  4. 購入頻度とその推移
  5. 年代(生年月日)、家族構成など、職業
  6. 問い合わせ/クレームなどの履歴
  7. 営業などのアプローチ記録とその結果
  8. マーケティング結果(郵送メール、電子メール、広告など)とその反応
  9. 嗜好などの情報(アンケートなど)
  10. 商品や会社への要望

商品や請求書の発送や売上管理などの購買記録データとして、上記の「1~3」までで顧客データの活用は終わっていないでしょうか。「3.購入商品と点数、金額とその推移」と「4.購入頻度とその推移」は計算すれば把握できますが、おそらく計画的に計算している会社は少ないかもしれません。

「5.年代(生年月日)、家族構成など、職業は目的性を説明できなければ取得が意外と難しく、「6.問い合わせ/クレームなどの履歴」は問題が解決すれば忘れ去られてしまいがちです。

「8.マーケティング結果(郵送メール、電子メール、広告など)とその反応」は、1人ひとりの顧客ごとではなく、1回の施策当たりの売上全体の変化の把握にとどまり、「9.嗜好等の情報(アンケートなど)」はフェアや店頭などで営業目的に実施する程度で、「10.商品や会社への要望」は、各営業マンが概ね把握していたとしても全社で情報として共有されていないことが予想できます。

顧客について膨大なデータ量を抱えていても、その個人個人を知る手がかりとなる情報は意外と少なく、取得しようとする活動もしていないのが現状ではないかと思われます。

データを集め、分析することでわかること

では同じデータを情報価値として捉えると、どのような利用価値が出てくるでしょうか。

  • 「個人情報(名前、住所)」⇒ 地域特性、性別の推定、マッピングシステムなどとのマッチング
  • 「購入の時期」 ⇒ ボーナス時期に購入、月末に購入など、季節商品の把握
  • 「購入商品と点数、金額とその推移」 ⇒ 嗜好の変化、購入金額の予測
  • 「購入頻度とその推移」  ⇒ 頻度の低下から将来の離脱防止のための施策立案
  • 「年代(生年月日)/家族構成/職業」 ⇒ 年代別マーケティングの実施、年代や家族構成に合わせたDMの案内やキャンペーンの企画・告知
  • 「問い合わせ/クレームなどの履歴」 ⇒ テキスト分析し、顧客の声をアイデアや改善課題に転換
  • 「営業などのアプローチ記録とその結果」 ⇒ 引継ぎ情報、社内連係の情報
  • 「マーケティング結果(郵送メール、電子メール、広告など)とその反応」 ⇒ その顧客個人に対する施策の効果検証、嗜好の推定
  • 「嗜好等の情報(アンケートなど)」 ⇒ アップセル/クロスセル/新商品開発情報としての活用
  • 「商品や会社への要望」 ⇒ 商材やサービス、会社の強み弱み、課題把握

このすべてを実施していると胸を張る会社もあるかもしれません。しかし、特定の地域や商品の購入者をひとつにしたグループ単位でのセグメントにとどまってはいないでしょうか。あるいは顧客からの声は、営業スタッフからの報告のみに頼っていないでしょうか。問題は「顧客の1人ひとりを把握しきれていないこと」「データ(数値)にもとづいた顧客のニーズが把握できないこと」であると指摘できます。

CRMというシステムの役割

顧客1人に対して、いつ何を購入し、それはどの施策の結果で、過去の施策ではどのような反応経緯を示し、購入後の問い合わせやクレームはどのような内容についてだったかを知ることが大切ですが、それを実現できるのがCRMシステムなのです。

顧客情報の重要度は感じていても、実際の「取得」「蓄積」「運用(分析)」はできていないのが多くの企業の現状です。購買管理、請求書の発送や契約更新の管理中心の顧客管理システムでは、マーケティング情報の蓄積や分析は十分にできません。CRMというITシステムを導入することで「取得」「蓄積」「運用(分析)」が可能となるとともに、情報の「共有」ができます。その範囲は営業やサービスに限定されず、製品開発や経営部門にまで行きわたらせることで、「顧客の見える化」「ニーズの顕在化」「商材の方向性」「会社の向かう先」が理解できることになるのです。

CRMで事業の方向性を知る

CRMシステムは「顧客を知る」ことがその第1ステップと言えるでしょう。そこから顧客1人ひとりに合わせたマーケティング施策を打ち、サービスに力を入れることでロイヤリティが向上します。その結果良好な関係が築け、引き続き優良な顧客としてLTVの向上に貢献してくれることになります。そしてそれだけではなく、CRMが最終的には事業の方向性や会社のあり方についての情報も示してくれるということです。

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