【事例インタビューNo.1(後編)】ライフタイムバリューを高めるコミュニティマーケティングとは

WOWOWコミュニケーションズが提供するコンタクトセンターサービスは、単なる電話業務の枠を超えて、お客様との関係性を高めるコンタクトセンターとしての役割を強めています。物が売れない時代に、既存のお客様と良好な関係を長く続けることは、企業のマーケティングにとって重要な課題です。WOWOWコミュニケーションズ営業部営業1課の渡邊博課長に、お客様との関係性強化に効果的なコミュニケーションの進め方について伺いました。

WOWOW加入者の契約を長期継続可能にしたノウハウをクライアントにも展開

――有料放送のイメージが強いWOWOWが、なぜ企業のマーケティングを支援するのですか。

WOWOWコミュニケーションズは、衛星デジタル有料放送「WOWOW」のカスタマーサービス部門を担う100%子会社として、1998年2月に誕生しました。当社のミッションは、「WOWOW加入者に契約を長期継続してもらう」「離反(契約解除)しないでもらう」ことでした。WOWOWのコンタクトセンターを受託・運営し、お客様とのコミュニケーションを通じて得た教訓やノウハウを、今日の他企業へのコミュニケーション戦略やデータコンサルティングなどのビジネス支援に活用しています。

――例えば、どんな課題に対し、どのような提案やソリューションを打ち出しますか。

クライアントからの主な課題としては「新規顧客を獲得したい」「既存顧客の離反を抑止したい」の2つがあります。こうした課題に対するソリューションとしては、コンタクトセンターというお客様接点におけるインサイトの収集・分析・示唆出しが効果的です。もっと広義に捉えると、クライアントの置かれた市場環境の分析や競合他社との違いを知るためのミステリー調査やWebパネルを活用した市場優位性調査など、WOWOWのカスタマーサービスで培ったマーケティングノウハウをもとに、クライアントの状況に合わせたオーダーメードのソリューションを提供できます。

――WOWOWコミュニケーションズのコンタクトセンターの強みは何ですか。

競合他社と比べた場合、WOWOWという自社ドメインを持っていることが、強みになっています。10期連続でWOWOWのテレビ会員数の増加という、実証されたソリューションがあります。マーケティングビジネスパートナーとして、すべてのコミュニケーションチャネルの構築・運営、デジタルマーケティング、EC運営などあらゆるお客様との接点で「キモチ」を捉え、事業の成功に貢献しています。

また、WOWOWをトライアル・検証のフィールドとすることで、高付加価値の提供が実現できます。通常、クライアントから相談を受ける際、窓口となるのはその会社のコンタクトセンター部門や、デジタル部門やマーケティング部門です。クライアントの全体最適を考えてソリューションを提供する必要がありますが、全部門と話をすることは難しいので、会社全体を見渡せる想像力が必要となるのです。WOWOWに対するソリューションを考えるときは、親会社でもあるWOWOWの全部門と話すことができるので、その経験がクライアントのコミュニケーション支援でも生かすことができます。成功体験や失敗体験を多くもっているので、説得力を持って、最適なソリューションを提案することができます。

入り口から解約まで オムニチャネルでお客様の気づきを顕在化

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――具体的にはどのような成功事例がありますか。

WOWOWのお客様が解約に至らないようにするためにはどうすればいいのかを描いたカスタマージャーニーマップという施策があります。契約の入り口から解約まで、お客様の気持ちが解約に傾くリスクを把握するため、電話や電子メール、ダイレクトメール、Webなどオムニチャネルを活用し、定期的にコミュニケーションします。当初は好きな番組があるかないかが解約決定を左右する動機だと想定していましたが、それだけではないことがわかってきました。

つまり、オムニチャネルを活用したコミュニティマーケティングが非常に重要な活動になるわけです。子供と一緒に見られるコンテンツの安心感や、お客様の好みに合わせた「オススメ」の提供など、実際にWOWOWに触れたからこそ、顕在化する価値が見つかってきたのです。画一的なキャンペーンを打つよりも、お客様に合ったきめ細かいサービスが効果的になり、「私のことをわかってくれている」とロイヤルティを高めていただけます。こうした共創型ビジネスを進めていくことが大切です。

――実際にコミュニティマーケティングを進める企業が重要視すべきKPI(重要業績評価指標)は何ですか。

会員の増加とエンゲージメント、すなわち会員組織の「量と質」を高めていくことです。まず、「お客様の質が高い状態」がどういったものなのかを定義することで、事業ROIと相関性が高い行動因子を定義し、それをもとに会員のクラスタリングを行い、定点的にクラスタ間の会員変遷を捉えることが重要です。WOWOWでは、会員を数パターンのクラスタに定義し、番組視聴時間・ジャンル・情報発信の回数などで各クラスタの動きやWOWOWが「ベストな状態」と定義するクラスタへの変遷を促すための施策を打っています。WOWOWコミュニケーションズでは、この運営ノウハウを生かして、Plus(+) Solution Service(プラスソリューションサービス)を展開しています。この施策は、「クラスタリングサポート」として単体提供も可能です。

会員の質の向上に効果のあるカスタマージャーニーに基づくコミュニケーション

――会員の質を向上するためにできることは何ですか。

WOWOWのカスタマーサービス向けの施策として効果を上げた「カスタマージャーニー」に基づくエンゲージメント施策が有益だと考えています。また、コンタクトセンターをはじめ、SNSや電話の音声などを拾い上げるモニタリングセンター、マーケティングセンターの3機能を組み合わせて収集したVOCを分析し、クライアントにフィードバックすることが効果的です。お客様インサイトの利活用により、質の向上は実現できるはずです。

――新規会員を獲得するために必要な施策は何ですか。

お客様が購買に至るまでの心理的なプロセスは、注意(Attention)、関心(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)の頭文字をとって「AIDMA(アイドマ)」といいますが、商品やサービスを知ってもらい、興味を持っていただく段階では、宣伝広告を含むいくつかのプロモーションを適切なアプローチとタイミングで行うことが重要です。この段階では、コンタクトセンターの役割は限られますが、購入や契約締結などコンバージョンにつながった際に、その商品やサービスのどこに興味があるのかを確認しておくことが大切になります。なぜなら、こうした情報を蓄積し、プロモーション部門にフィードバックすることで、直接の効果は限定的であったとしても、プロモーション部門が情報を活用することで、会員増につながる可能性は決して小さくないからです。

購入していただいた際のお客様の気持ちは最高潮に達しており、その時に抱いた気持ちにギャップが生じ始めると、次は買わないという行動につながってしまいます。買わないとなったときのトリガーは何か。ネガティブマーケティング情報を把握することによって、その情報をあらかじめコンバージョンの際に説明しておくことで、「AISAS(アイサス)」にも容易に対応可能ですし、離反の抑制につながることも期待できます。

――会員の離反を抑止するための施策と、会員を増やすために実施する施策とは、どちらを優先すべきですか。

企業によって直面している課題は違うので、唯一の正解というものはありません。しかし、モノが売れない時代が今後も続くと想定すると、新規のお客様が爆発的に増加することは期待できないでしょう。実際、商談を進めるなかで、「新規顧客の獲得が潤沢です」という企業は珍しく、プロモーション費用も限られています。出会ったお客様が契約を解除するかどうかの水際でいかに解約を阻止するのかも重要ですが、もっと大事なのは、水際に至らないように、良好な関係を長く続けていくための関係強化を考えるべきです。そのことを企業が意識することで、より強固にお客様との信頼を築くことができます。さらに、その関係強化の取り組みが評価されれば、新たなお客様の獲得にもつながるかもしれません。WOWOWコミュニケーションズは、お客様とのさまざまな接点を通し、お客様1人当たりのライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の最大化を目指します。

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