【事例インタビューNo.4(後編)】企業へのロイヤルティが高まる理由は意外なところに

WOWOWコミュニケーションズでは2年ほど前より、自社のお客様から商品やサービスの意見を継続的に聴取する「ファンボイス」の展開を進めています。その知見をもとに、WOWOW以外の企業にもファンボイスの提供を行っています。ご相談いただくクライアントの業種はさまざまで、その導入効果は顧客の深い理解だけではありません。お客様へアンケートに定期的に回答していただくことが、思わぬ副次的効果を生みだしたと言います。今回は、購買プロセスの可視化に取り組んだ企業事例と、ファンボイスがもたらした思わぬ効果について、マーケティング部マーケティング課の伊達香澄さんと営業部Webソリューション推進課の大川祐太郎さんに聞きました。

 

「購入金額の違いが顧客行動に現れるはず」漠然とした仮説がファンボイスによって明らかに

――WOWOWグループ外企業でのファンボイス導入事例について伺いたいと思います。どういったきっかけで、ファンボイスを導入することになったのでしょうか?

大川「トイ・ホビー業界のクライアント企業様の事例をご紹介しましょう。そのお客様では、ここ最近商品開発や販促が今までの顧客とギャップがでていることが課題になっていました。クライアント様は『売上を伸ばすためには、今のお客様の行動や嗜好を理解したうえで商品開発や販売促進をしなければならない』と頭では分かってはいるものの、具体的な施策を決めかねていました。その理由を尋ねると、『お客様の嗜好を把握しきれていない』とのことでした。

クライアントの社内では、もともと『購入金額が高い人と低い人とでは、購買ジャーニーにおける行動や購入決定理由が異なるのではないか』との仮説があったそうです。また、嗜好変化のサイクルが短い若年層の傾向もしっかり把握したいとのご要望もありました。それならば、ファンボイスで実際に対象層のお客様の声を聴いてみようとご提案しました。そのほうが、仮説が合っているかどうかを早く確実に検証できますよね。クライアントのご理解もいただき、ファンボイスを始めることになりました」

 

――「購入金額の違いによって商品購入までの行動が違うのではないか」という社内仮説を検証しようとしたのですね。具体的に、どんな取り組みをしたのでしょうか?

伊達「今回の検証目的にふさわしい回答者を選抜することから始めました。複数のアンケートを経て選抜された自社会員3000人をアンケートパネルにしたうえで、彼らを購入金額の多少によってグルーピングしました。

アンケートの期間は8ヶ月間。2ヶ月に1回のペースで、全156問に回答いただきました。ファンボイス開始時にある程度の質問内容と質問予定時期を決めていますが、実際には回答状況を見ながら柔軟に質問時期や内容を見直しながら進めました。当初想定していなかったお客様の声があったとき、その理由を深堀りするための質問をするというケースがありました。

 

――8ヶ月間の取り組みを通して、どんな効果がありましたか?

大川「今まではずっと仮説の領域を脱しなかった購買ジャーニーの姿や購入の決め手が、ファンボイスによって詳しく見えるようになりました。クライアントの仮説とお客様の“キモチ”のズレが減り、顧客満足を得られるマーケティング活動につながっています。こうした施策の積み重ねが、今期の業績アップという数字にも表れているのではないかと思います。

今回のクライアント様の取り組みを通して、ファンボイスには『未来への種を見つける』一面もあることに気づきました。アンケートパネルの皆さんは、わざわざ会員になるほどにクライアントの商品やサービスを好きでいてくださっている方であると同時に、その商品・サービスの領域について広くアンテナを張っている方でもあります。感度の高いお客様が集まっているわけですから、界わいで新しい動きがあったときに直接アンケートパネルの方々に意見を伺うこともできます。若年層をターゲットとする商品では特に、我々の考えとアンケートパネルにいる若年層の方々との反応差が大きくて面白く、新商品の開発やサービス展開に活きるだろうと思います」

伊達「ファンボイスによってお客様の姿が具体的に見えてくる効果は、大川が言うとおりです。ただ実は、ファンボイスを始めた頃には想定していない効果もあったんです」

後002.jpg

アンケートに答える行為そのものが、企業へのロイヤルティ向上に結びつく

――ファンボイス開始時に想定していなかった効果とは、何だったのでしょうか?

伊達「アンケートに何度もご回答いただくうちに、企業に対するお客様のロイヤルティが上がっていることが分かりました」

 

――どういったことから、企業に対するロイヤルティ向上を感じたのでしょうか。

伊達「アンケートに回答したお客様にお送りしたカードの写真が、お礼のコメントとともにSNS上にいくつも公開されていたんです。お客様発信で、自然発生的に“ゆるい推奨”が生まれていました。

アンケートに『今後もこの商品を購入したいかどうかの気持ちは、ファンボイス登録後にどう変わったか』との項目を設けてみたところ、想像以上にロイヤルティ向上を感じる回答が集まりました。『商品を今まで以上に身近に感じられた』『商品をもっと知りたくなってサイトにアクセスする機会が増えた』など、ファンになる熱量が増えている様子が伝わります。さらには、『ファンの声を聴いて意見を取り入れようとする企業姿勢に好感を持てた』といった企業自体へのロイヤルティ向上が見て取れるご意見もありました」

 

大川「アンケートのやり取りを繰り返すうちに、企業に対して信頼感や親近感を持ってくださったことも一因にありますよね。自分が好きでいる商品やサービスをつくる会社から協力者としてファンボイス参加者に選ばれ、実際に意見を直接伝えられるという機会は、考えてみるとまだまだ少ないのではないでしょうか。企業にとってファンボイスは、お客様との関係性を深められる貴重なコミュニケーションの機会としても十分活用できると思います」

後003.jpg

仮説立案から施策実施まで、パートナーとして顧客育成に貢献

――自社のお客様の意見を継続的に聴取するファンボイスは、さまざまな業界で活用できそうです。そのうえで、ファンボイスが特にマッチする企業の特徴がありましたら教えてください。

伊達「おっしゃるとおり、ファンボイスはさまざまな業界のお客様に展開できます。とりわけ、プロダクトライフサイクルが短い商品やサービスの顧客育成とは相性が良いと感じています。そういったものに対してユーザーは、今使っているものより良さそうとか、最近はやっているからといった気軽な理由で乗り換えやすいからです。結婚式や一戸建て住宅など“一生に一度”となるようなものはサービスを手に入れた時が気持ちのピークになる場合がほとんどですが、プロダクトライフサイクルが短い商品の場合はそうではありません。時系列で気持ちが変化しやすいので、ファンボイスによって定期的にお客様の声を拾うことでさまざまな価値が生まれやすいと思います」

大川「趣味性が高い商品やサービスを取り扱う企業との相性も良いですよね。ユーザーの熱量やこだわりがものすごい。お送りしたアンケートの字数制限いっぱいに自分の思いを書いてくださる方を何人も目にしましたよ」

――ファンボイスを導入しやすい企業の特徴はありますか。

伊達「パネル設計のしやすさを考えると、自社で会員顧客情報を持っていらっしゃる企業様には導入しやすいです。会員数も情報量も多いに越したことはありませんが、そうでなくてもパネルの設計方法から一緒に考えていきますのでご安心ください」

大川「アンケート回答の取得難易度が低いのは、BtoBよりBtoCの企業様でしょうか。製造開発部門と最終消費者との距離が近いほうが、ユーザーは企業名や商品名に対してなじみがある分、アンケートに答えやすいからだろうと思っています」

伊達「いまお話しした特徴に当てはまらない企業様も、もちろんファンボイスをご活用いただけます。アンケートの進め方や分析のポイントなどをご相談しながら進めていければと思います」

 

――最後に、ファンボイスをどのように活用していただきたいかについて教えてください。

大川「ファンボイスは、親会社のWOWOWがお客様の“キモチ”を知るために実施した経験を活かして、仮説立案から施策立案・実施まで企業様をサポートします。ですから、冒頭で事例をご紹介した『顧客の特徴に関する仮説を検証したい』とのご要望だけでなく、『集めた顧客データの活用方法が分からない』とか『ロイヤルティを高めたい』など、顧客育成に関する幅広いテーマでご支援することができます」

伊達「お客様の“キモチ”を具体的に知ることは、企業のあらゆる分野で有益なことだと思います。ファンボイスの展開を通して、さまざまな企業様の改善立案や戦略策定に貢献していきたいと思います」

「ファンボイス」ホワイトペーパーのダウンロードはこちらWP_funvoice201809_(2).jpg

つづき≫【事例インタビューNo.4(前編)】「ファンボイス」で行動ログでは見えてこない“キモチ”を探る

関連記事