【基礎編】コールセンターの応対品質の高め方
要約:応対品質は「地道な日々のモニタリング」と「結果のフィードバック」で高める
応対品質は「地道な日々のモニタリング」と「結果のフィードバック」で高められる:応対品質を向上させるためには、地道な日々のモニタリングとフィードバックが不可欠。通話ログを聞き、それをチェックシートで評価項目を埋める作業を継続する。また、客観性を担保したフィードバックの仕組みにより、品質向上を図る。
そもそも「忙しさ」が品質低下の背景:コールセンターの応対品質向上の最大の課題は「忙しさ」による時間不足。オペレーションの変更や急増する顧客対応に追われ、応対品質の優先順位が下がることが多い。そのため、品質の前に「徹底した成果マネジメント」が重要。※参考記事:【コールセンターの品質管理】“真”の顧客満足に必要な2つの考え方。
客観的に評価する:WOWOWコミュニケーションズは主観を排除し、サービスサイエンスに基づいた客観的な評価シートを使用。コミュニケーターの行動を細かく分解し、チェック項目化。特に、定期面談によるフィードバックでは、9段階のステップを経て、コミュニケーターに建設的な改善アクションを促す。
※本編は“WOWCOMポッドキャスト”をテキスト化した内容です。またサムネイル画像およびYouTube内の画像にはDALL·E 3を使用しています。
応対品質向上の基本をご紹介。
コールセンターでの応対品質向上に悩むことはありませんか?
日々の業務に追われ、応対品質の改善を後回しにしてしまうことは、多くの企業で共通の課題です。
WOWOWコミュニケーションズは、20年以上の実績を持ち、地道なモニタリングと的確なフィードバックを通じて、この課題に対処してきました。
本稿では、「【基礎編】コールセンターの応対品質の高め方」と題し、数多ある改善策の中でも、基本中の基本について解説します。
応対品質を向上させるために、どうすればいいのか?
━━━コールセンターの応対品質を高めていく中で、よく起こる課題や障壁はどのようなものがありますか?
一番多い課題は、忙しくて時間が取れないことです。その結果「応対品質を高めること」の優先順位を下げ、おろそかになるケースが多いです。
━━━そもそも、コールセンターはなぜ忙しくなってしまうのでしょうか?
日々、様々なことが発生するためです。
例えば、何かオペレーションの変更があった場合。変更に伴う様々な作業が発生し、その対応をしなければいけません。他にも、お客さまからのお電話が増えれば、当然そちらの対応を優先せざるを得なくなります。
このような、応対品質を高めること以外の要素が、日々発生します。
そうすると、どうしても稼働を優先してしまう。
生産性の向上や、稼働維持の優先度がどうしても上がってきますので、その結果、応対品質向上の優先順位が相対的に下がってしまいます。
うまくいくコールセンターの運用マネジメント
- 数字管理ができている
- 数字達成のロジックを理解している
- 各業務がきちんと整理されている
- KPIが未達の際、どこに力を入れるべきか見える化できている
━━━応対品質を向上させるためには、どうしたらよいでしょうか?
様々な方法がありますが、WOWOWコミュニケーションズが20年以上コンタクトセンターの運営をしている中で、ひとつ、これは間違いないことがあります。
それは「地道な日々のモニタリング」と「結果のフィードバック」。これらを継続することに尽きます。
━━━継続は力なり、ということですね。前者のモニタリングに関して、具体的にはどのようなことをされていますか?
例えば、オペレーターとお客さまの通話ログを聞き、所定の評価チェックシートの評価項目を埋めていきます。
チェックを入れ、できているところと、できてないところを明らかにするやり方が一般的です。
━━━「評価」について気になりました。評価は主観的であり、一つの対応に対して人によって良し悪しがわかれるのではないでしょうか。その際、評価の客観性やバランスを維持するためにされていることはありますか?
WOWOWコミュニケーションズの場合、主観、個人の感覚、勘といったものを取り除いた客観的な指標を重視しています。
それを具体化するために導入しているのが「サービスサイエンス」の考え方です。
サービスサイエンスを元に評価シートを作成しています。このシートは、オペレーターの電話応対の行動におけるチェック項目を用意しています。
例えば「明るい挨拶をしている」「復唱している」といった応対中の一つ一つの行動をチェック項目に落とし込んでいます。合計60項目ほど、行動を細かく分解し、チェック項目化しています。
サービスサイエンスの考え方、および、細かく分けたチェック項目によって主観の入り込む余地がないような設計を採用しています。
━━━「明るいかどうか」の判断は、どのような軸で判断されていますか?
事前に、どの程度を明るいと判断するかを、評価するメンバー間で会議をし、認識を合わせています。
━━━なるほど。事前に、基準をメンバー間で揃え、加えてサービスサイエンスの考え方によって客観性の高い仕組みを取られている。
結局「基本の徹底」が質を生む。
━━━2点目の「結果のフィードバック」は、どのようにされていますか?
まず、フィードバックは大きく2種類あります。
1つは、リアルタイムフィードバック。2つ目は、定期面談によるフィードバックです。
リアルタイムフィードバックは特徴はなく、シンプルに、その場でコミュニケーターに対してフィードバックをしていきます。
一方、定期面談によるフィードバックはステップが9段階あり、進め方を確立しています。
━━━どのようなステップでしょうか?
ステップ1は、アイスブレイク。日頃の労を労うことから始めます。
やはり「フィードバックを受ける」となると、オペレーターは不安を抱き「何かダメ出しされるのではないか?」と警戒心を高めます。
そういう不安をまず取り除きます。建設的に「これからどうしたら良くなるか?」という話をしていくために、最初のアイスブレイクは欠かせません。
その後、きちんと「フィードバックの場」の趣旨を理解した上で、該当の音声をリーダーとオペレーターで聞きます。
聴き終わった後は必ず、まずは良かった点を褒めます。
その次に、ようやく改善点をフィードバックします。そこから、改善アクションに落としていく。
そして1ヶ月後に、設定した改善点をクリアすることの合意をとり、フィードバックを追えます。
━━━「コールセンターの“高い”応対品質とは?」でも思いましたが、やはり、基本の徹底がWOWOWコミュニケーションズ流なのでしょうか。基本の徹底が、特徴だな感じました。
サービスを生み出すのが人である以上、もちろん飛び道具もあるかもしれません。
ただ、20年以上やってきた結果、やはり地道な日々のモニタリング、フィードバックを定期的に継続していくのが一番効果があると結論づきました。
━━━応対品質の向上を測定すべく、どのような指標を使っていますか?
WOWOWコミュニケーションの場合ですと、先ほどご紹介した60項目の評価シートが指標となります。
評価を付けた結果を数値で出し、その数値をもとにで「前回よりも良くなったね」「前回よりも少し下がったね」といった形で、チェック項目の点数を指標として用いながら応対品質の管理をしています。
━━━ちなみに、60項目が全て満点になることはありますか?
あまりないですね。
我々の評価軸として、見ている行動が2種類あります。
1つは、オペレーターの良かった/悪かった行動。2つ目が、お客さまに印象を与える/与えない行動。これらを60項目の中に散りばめています。
それぞれの「良かった行動」全てにチェックが入り「良くなかった行動」にはチェックが入らないのが究極です。ただ、これは中々お目にかからないですね。
とにかく、重要なのは「地道な日々のモニタリング」と「結果のフィードバック」、これらを継続することです。