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ソーシャルスタイル理論をコールセンターに取り入れる方法

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【要約】まずはSVに落とし込み、そこからお客さま応対と社内コミュニケーションに落とし込む

お客さま応対にソーシャルスタイル理論を取り入れた理由 「お客さまに寄り添った対応」を目指すために導入。ソーシャルスタイル理論を活用することで、お客さま一人ひとりの特徴に応じたコミュニケーションが可能になります。基礎スキルを身につけたオペレーターがさらに応対のレベルを高めるための手法として、相手に合わせた対応が求められる場面で力を発揮。WOWOWコミュニケーションズでは、お客さまとの円滑な関係構築を目指し、応対品質の向上を図るためにこの理論を取り入れています。

具体的な取り入れ方  :スーパーバイザーへの研修を通じ、その後、現場に落とし込みます。研修ではソーシャルスタイルの基本を学び、現場での応用方法を各スーパーバイザーに任せています。あるセンターでは、チーム編成時に活用し、別のセンターではスーパーバイザーのスタイルを可視化することでオペレーターとのコミュニケーション向上を図っています。また、電話応対ではお客さまの話し方や声のトーンを手がかりにスタイルを絞り込み、それに合わせた対応を行う具体的な手法も採用しています。

取り入れるメリット「お客さま応対の向上」と「職場環境の改善」が期待できます。お客さまに合わせた柔軟な対応が可能になることで、顧客満足度の向上が見込まれます。また、スーパーバイザーやオペレーター同士のスタイル共有を通じて、相互理解が深まり、センター内のコミュニケーションが円滑化します。このように、応対品質の向上と働きやすい職場環境の両立を実現できる点が、ソーシャルスタイル理論を取り入れる大きなメリットです。

ソーシャルスタイル理論でコールセンターの現場環境を改善

コールセンターの応対において、お客さまに合わせたコミュニケーションは困難。

「どう話せば伝わるのか分からない」という悩みは、多くのオペレーターが抱える課題です。  

WOWOWコミュニケーションズでは「ソーシャルスタイル理論」を活用することで、こうした課題の解決に取り組み、応対品質の向上を目指しています。

この記事では、ソーシャルスタイル理論を取り入れるメリットと活用法を詳しくご紹介します。  

スピーカー

富樫 雄太

SNSマーケティング会社、研修会社などを経て、2016年に(株)WOWOWコミュニケーションズへ入社。部門のマネジメントに当たる傍ら、クライアント企業の品質改善のコンサルティング/人材育成/品質調査/フィードバック等を担当。

インタビュアー

原澤 陽

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。登壇実績

なぜ、ソーシャルスタイル理論をコールセンターに取り入れるのか?

━━━そもそも、ソーシャルスタイルとは何ですか?

ソーシャルスタイルとは「人と人とのコミュニケーションにおける理論」の一つです。

どんな人でもおおよそ4つのスタイルに分けることができます。それぞれのスタイルごとのコミュニケーションの特徴があるので、自分のスタイルと相手のスタイルを捉えます。

その上で、相手の特徴に合わせて話をしたり、自分の言動を調整したりすると、相手と円滑なコミュニケーションが取りやすいという理論です。

━━━では、ここからコールセンターに紐付けての質問となります。なぜ、ソーシャルスタイルをコールセンターのお客さま対応に取り入れているのか、ひいては、なぜWOWOWコミュニケーションズでは取り入れようと考えたのか、背景を教えてください。

ソーシャルスタイルを導入することで期待したことの一つは「お客さま一人一人に合わせたコミュニケーションが取りやすくなるのではないか」ということです。

もちろんまず大事なことは、お客さまに聞かれたことに答えることや、お客さまが何を知りたくて電話してこられたのかを理解すること。

そこに対して、お客さまが知りたいことに対する答えを提供するというところをまずしっかりできるようになるのが最優先であり、前提になります。

その上で、例えばスキルが高い人やある程度余裕を持って応対できる人になってくると、より高いレベルの応対を目指すレベルになるわけです。

その時、その相手に合わせたコミュニケーションはレベルが高いものが求められるので、応対方法の一つとしてソーシャルスタイルを活用できればお客さまにとってももっと良い体験を提供できるのではないかと…考えたのがソーシャルスタイル理論を取り入れた背景です。

ただ、WOWOWコミュニケーションズではソーシャルスタイルを電話応対で使うにあたって、必須にはしていません。前述した通り、応対レベルが高まると必要になるスキルです。

関連記事:コールセンターの“高い”応対品質とは?

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━━━絶対条件かと思っていましたが、まず基礎ができた上で、レベルを上げていく際に必要なんですね。では、応対に取り入れる場合、実際に話してる間に「この方はエクスプレッシブかな?」など、お客さまのスタイルを判断して応対するという認識で合っていますか?

おっしゃる通りです。ソーシャルスタイルはスタイルが4つあると話をしたのですが、それぞれアナリティカルとエクスプレッシブとドライビングとエミアブルという4つのスタイルがあります。

例えば、まだ入社したばかりの新人の場合、そもそもお客さまに聞かれたことに答えることすらおぼつかず、それでいっぱいいっぱいになってしまいます。

そんな状態でお客さまの声、お話を聞いて「この人のスタイルはなんだろう?」と判断を求めるのは厳しい。

そのため、ある程度ベテランの方や、知識もスキルも豊富に備わっていて、ある一定水準の応対ができるようになった方から、さらにハイレベルな応対を目指していく際の一つの方法として活用しています。

ソーシャルスタイル理論を現場に落とし込む手法

━━━私が営業職だった際に比較的ソーシャルスタイルの活用場面がありましたが、コールセンターは初めて聞きました。具体的に、どのようにコールセンターの現場にソーシャルスタイルの考えを落とし込んでいますか?

弊社では「ソーシャルスタイル研修」を用意しており、この研修によって、コールセンターの現場に落とし込んでいます。

社内の管理監督をしてるコールセンターのスーパーバイザーに対し、全員にソーシャルスタイル研修を受けてもらうことで、まずはソーシャルスタイルそのものへの知識をお伝えします。

その後、現場でどのように活用するかは、各スーパーバイザーに任せています。

例えばある現場では、チーム分けやメンバー編成を考える際に一つのツールとしてソーシャルスタイルを使ったセンターもありました。

また、別のセンターではスーパーバイザー全員のソーシャルスタイルを「この人はこのスタイル」と、各々のスタイルを模造紙に書き、それを休憩室に貼り出してオペレーター全員に見えるようにした現場もあります。

それによりオペレーター側も「スーパーバイザーのAさんはあのスタイルでこういう特徴があるのかな。」とコミュニケーションのとっかかりを得られるので、センター内でのコミュニケーションが取りやすくなるという効果を期待しての取り組みです。

関連資料:ソーシャルスタイル研修

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━━━やはり、ある程度の可視化が大事なんですね。

そうですね。可視化と自己開示まではいかないですが、お互いに自分のスタイルの情報共有ができると、相互理解はしやすくなると思います。

━━━今、社内同士でのソーシャルスタイルを使ったセグメンテーション区分を伺いましたが、一方で、オペレーターの方が実際にお客さま応対の際に「この方の場合はこうやって話した方がいい」と、電話応対での活用方法はいかがですか?

電話応対の場合は、ソーシャルスタイルの活用が対面と比べると少し難しい側面があります。なぜかというと、相手の顔が見えず、また、表情や身振り手振りも見えないためです。

電話応対でソーシャルスタイル理論を活用するには、お客さまのスタイルを判断する情報があくまで声と話し方しかないので、その情報だけを手がかりにし、ある程度スタイルに目星をつけていくのが現場での活用方法です。

WOWOWコミュニケーションズとしては、まずはスーパーバイザーに研修を実施し、その後の活用方法はセンター毎に任せています。活用する場合は、スーパーバイザーから各センターに所属してるオペレーターに落とし込んでもらうという流れを取っています。

活用方法の例としては、お客さまの話すスピードを元に、ソーシャルスタイルをある程度識別しています。

早口なのか、ゆっくり話される方なのか、それによって4つのスタイルのうち少なくとも2つには絞り込むことができます。絞り込んだ内容を元に応対を進めていく場面に使ってもらっているケースはありますね。

━━━話すスピード以外に、判断する軸はありますか?

他には、声に感情が表れやすい方か否かです。

声のトーンが一定ではなく、抑揚があったり、声に笑顔が感じられたりとか。そういう方は、4つのスタイルのうち、エミアブルか、もしくはエクスプレッシブのこの2つのどちらかという目星をつけるヒントになることはありますね。

━━━ちなみにここまで話していて、私はどのタイプであり、富樫さんはお客さまの私にどのような対応を取りますか?

原澤さんの顔が見えてるので前提条件は多いですが、おそらく4つのスタイルの中でいうと、エクスプレッシブではないかなと思っています。

そう判断した根拠としては、笑顔も多いですし、表情に感情が表れやすい。あとは収録外でお話をしてる時もエピソードトークが比較的多く、個人的な体験談を入れてもらうケースが多いので、そこも判断基準の一つにはなります。

━━━そうすると私はエクスプレッシブと仮定した際、オペレーターとしてはどのような対応を意識するべきですか?

例えばエクスプレッシブというスタイルの場合ですと、感覚重視と言われることがあります。直感やフィーリングで行動に移すケースが多いスタイルがエクスプレッシブと言われているので、応対では「気持ちを高めるようなトーク」を意識するのが良いです。

例えば「この商品はこういうメリットがあるからすごく良いです。」というようなノリの良い、気持ちを高めるトークをすると、エクスプレッシブの方には響きやすいかもしれません。

━━━一方で、エクスプレッシブの方に対してネガティブな方向に行ってしまう応対はどのような点になりますか?

例えば、オペレーターがすごく細かい説明を長くしたり、オペレーターが一方的にずっと話してしまったりすることです。

さらに、その話の内容もフィーリングを掻き立てるような内容というより、数字や事実、エビデンスを元に、事実を淡々と述べていくような話し方は気をつけるべきです。

エクスプレッシブは直感重視型、感覚重視型なので、あまり響きにくいという傾向があります。もちろん個人差はあるので、断定はできませんが。

━━━最後の質問になりますが、コールセンターにソーシャルスタイルを取り入れると、どのようなメリットがありますか?

私が聞いた範囲で言うと大きく2つあります。

1つ目は、お客さま応対においては、お客さまに合わせた応対、コミュニケーションを取れることによって、お客さまとのコミュニケーションが円滑に進められるようになったと聞いています。

2つ目は、お客さま応対ではなくて、コールセンター内における、社内のコミュニケーションの醸成です。

先ほどの休憩室の話のように、自分の上司はこのスタイルだと分かれば、部下が上司のスタイルに合わせたコミュニケーションを取っていくこともできます。その逆も然りです。

上司がメンバーのスタイルを知ることによって「じゃあこういう風に接するようにしよう」と考えることにより、センター内の風通しが良くなることがあります。

━━━今回はコールセンターにソーシャルスタイルを取り入れるというテーマでお話を伺いましたが、コールセンターに限らず全企業がやった方がいいかもしれないですね。

そうですね。ソーシャルスタイルは人と人がいるところであればどこでも応用できる内容だと思います。

関連記事:【コールセンターの品質管理】“真”の顧客満足に必要な2つの考え方。

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この記事を書いた人

矢尻 真麻

2012年にWOWOWコミュニケーションズ入社。 入社後はWOWOWのSNS/WEBサイト/MAなどのディレクション業務を経験。現在はWOWOWでのノウハウを活かし、新規営業獲得に向けて企画推進中。

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