スーパーバイザー(SV)に求められることとは?
目次
【要約】相手の理解度や性格に応じて伝え方を調整する柔軟性
相手に合わせた柔軟なコミュニケーションの重要性:スーパーバイザー(以下:SV)に求められるのは、相手の理解度や性格に応じて伝え方を調整する柔軟性です。ソーシャルスタイルの活用や観察力を駆使し、専門用語を避けて噛み砕いて説明するなど、状況に応じた対応が求められます。これにより、オペレーターの安心感を生み、現場全体の成果向上につながります。
クレーム対応における責任と信頼構築のリーダーシップ:クレーム対応では、SVが「任せてください」という姿勢を示し、最終責任を引き受けることが重要です。これにより、オペレーターやお客様の信頼感を高め、現場全体の雰囲気を良好に保つことができます。適切なフォローアップは、モチベーションの向上にも寄与します。
全体を見渡す視野と地道なトレーニングの必要性:SVには現場全体の状況を把握する視野の広さが求められます。毎日の定点観測や違和感に気づく習慣を持つことで、小さな変化を察知できるようになります。この能力は、地道な経験の積み重ねを通じて培われ、クレーム対応やモチベーション管理において的確な判断を可能にします。
※本編は“WOWCOMポッドキャスト”をテキスト化した内容です。またサムネイル画像およびYouTube内の画像にはDALL·E 3を使用しています。
SVと現場のコミュニケーション
スーパーバイザー(以下:SV)として現場を率いるには、ただ指示を出すだけでなく、オペレーターとの良好な関係構築が不可欠です。
そこで今回は、SVと現場のコミュニケーションの鍵を握る具体的なポイントをご紹介します。
本稿は、オペレーターのモチベーションを引き上げ、成果につなげる効果的なコミュニケーションのヒントをご紹介します。
SVが築く信頼と成果を生むコミュニケーションの鍵
━━━前回はWOWOWコミュニケーションズの中でSVになるまでの試験がしっかりと組み立てられていて、それが現在もアップデートされているという背景についてお伺いしました。今回はSVになった後について、お聞きしたいと思います。
前回の記事:スーパーバイザー(SV)の役割 | なぜ、試験を厳格にするのか?
━━━SVの方が現場のオペレーターと接したり、コミュニケーションを取ったりする際に、どのようなことを心がけると良いのでしょうか?SVとオペレーターのコミュニケーションを円滑にしつつ、成果を上げるために重要なポイントについて教えてください。
いろいろなポイントがありますが、ひとつ挙げるとすれば、相手に合わせたコミュニケーションを取ることが重要です。当社ではSVになる前の研修でも、その点をしっかり伝えています。
━━━それは以前おっしゃっていただいたソーシャルスタイルを活用するということでしょうか?
ソーシャルスタイルも活用しますし、必ずしもそれに頼らなくても、例えば相手の理解度に合わせて伝え方を変えたり、相手の性格に応じてコミュニケーションの取り方を工夫するといったことが重要です。
関連記事:ソーシャルスタイル理論をコールセンターに取り入れる方法
━━━そもそも、相手の理解度や性格をどのように推し量るのでしょうか?
ここは正直なところ、個々の感性や経験に依る部分が大きいと思います。
ただ、例えば相手が理解に苦しんでいるような様子が見て取れた場合には、専門用語を避けて噛み砕いて説明するとか、わかりやすい例を用いて話すといった工夫が求められます。相手をしっかり観察して、その状況に合わせた対応をすることが必要ですね。
簡単なことではありませんが、観察力や柔軟な対応力が大事だと感じます。
━━━今おっしゃった専門用語を使わないとか、観察するとかというのは、前回お話に出た試験の中で教材として組み込まれているのでしょうか?
基本的なやり方や心構えといった部分は教材や研修の中でお伝えしています。ただ、最終的には訓練や経験に依る部分も大きいです。
研修で学んだ知識や方法を実際に現場で試してみて、そこから自分に合うやり方や改善点を見つけていく。その繰り返しでスキルを磨いていく必要があります。
━━━いきなり全てを完璧にこなせる人はいませんよね。そのためにWOWCOM Collegeが存在する価値があるということですね。SVが困った際の改善策やフォローアップは、どういった形で行われているのでしょうか?
SVのコミュニケーションに関する日常的なフォローアップや改善策については、WOWCOM Collegeというよりも、各センターや現場で行うことが多いです。現場での課題に即した形でサポートするようにしています。
━━━WOWCOM Collegeは、最初の基礎や土台を提供する場ということなんですね。その上で、世の中の変化に応じて、最終的には人間が向き合わなければならない部分が残るという理解でよろしいでしょうか?
そうですね。SVに期待される役割の中でも特に大きいのが、オペレーターのモチベーションを高めることです。この部分は、これからも人間ならではの役割として残るのではないかと感じています。
有人対応、つまり人にしかできないサービスを提供するという点において、いかにSVがオペレーターのモチベーションを引き上げるかが重要です。そのためのコミュニケーションや日々の接し方が、ますますポイントになってくると思います。
━━━モチベーションを適切にコントロール、あるいはマネジメントすることが、重要な鍵になるということですね。
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クレーム対応でSVが果たす信頼構築のリーダーシップ
━━━コールセンターでは、トラブルやクレームが発生することがあると思いますが、こうした場面でSVの方はどのような役割を果たし、何に気をつけて対応すべきだとお考えですか?
SVの役割として、特に重要なのはオペレーターやコミュニケーターから「すみません、ちょっとヘビークレームです」とアラートが上がった際に、それをしっかりと引き継ぎ、2次対応を行うことです。クレームの対応において、SVがどのように動くかが非常に大切ですね。
━━━まさにそのSVがどう対応するかが重要なポイントになりますね。
はい、それもSVの重要な役割の一つだと思いますし、現場全体の信頼感や応対品質に直結する部分だと思います。
━━━クレームに対して、オペレーターの方が対応する場合とSVの方が対応する場合というのは、ケースバイケースということでしょうか?
基本的にはオペレーターの方が対応し、その場で収束するケースが多いです。
SVに手を上げる必要がなく終わることもよくあります。ただ、場合によってはトラブルがこじれてしまったり、お客様の感情が非常に高ぶっているような状況では、オペレーターだけでは解決が難しくなることもあります。
そういった場合は上席対応として、SVが引き継ぎます。
この際、SVが責任を持って対応することが非常に重要です。「ここからは任せてください」という姿勢は、オペレーターにもお客様にも安心感を与えます。
━━━確かに、これまでのお話とも繋がりますね。オペレーターの方が「いざとなったら任せられる」という信頼感を持てるのは、先ほどおっしゃられた相手の理解度やモチベーションをSVが普段からマネジメントしていることが前提だからこそ、理想的な臨機応変な対応が可能になるということですね?
そうですね。さらに、クレーム対応の場面でSVがもし対応をおろそかにしてしまうと、オペレーターのモチベーションに悪影響を及ぼす可能性があります。「なぜSVが対応してくれないのか?」という不信感が生じてしまうんです。
ですから、SVがクレーム対応においても「最終的には自分が責任を持つ」という姿勢を見せることで、オペレーターにも安心感を与えることができます。それがモチベーションの向上につながりますし、現場全体のパフォーマンスや雰囲気にも良い影響を与えると思います。そういう意味でも、SVが果たす役割は非常に重要です。
関連記事:【コールセンターの研修】クレーム応対研修 | クレームは「おさめる」ものではなく「おさまる」もの。
SVに求められる視野と地道なトレーニングの重要性
━━━SVの方々に求められるスキルやマインドセットについてお伺いしたいと思います。SVとして「これがあるといい」というものがあれば教えていただけますか?
そうですね、いろいろと挙げられると思いますが、ひとつ特に重要なのは「全体を見渡す視野の広さ」かもしれません。
たとえば、朝一で現場を見渡したときに、いつもと様子が違うオペレーターがいることに気づけるとか、最近特定のクレームや問い合わせ内容が増えているといった傾向をキャッチアップできる視野の広さは、非常に重要だと思います。
━━━「視野の広さ」というのは、どうやったら身につけられるのでしょうか?
これは正直、座学で学べるものではないかもしれません。やはり、経験を通じて培われる部分が大きいと思います。
たとえば、現場で「なんだかいつもと違う」と感じた違和感が、後々トラブルの前兆だったとわかったりする。そういった経験を繰り返すことで、その違和感に早く気づけるようになり、放置せずに対応する習慣が身についていくのだと思います。経験から学ぶことが、視野を広げる一番の方法ではないでしょうか。
━━━違和感に気づくというのはとても重要だと思うのですが、どうすればその違和感を感じ取れるようになるのでしょうか?
ひとつ挙げるとすれば「定点観測」を習慣にすることが効果的かもしれません。たとえば、毎日同じ時間に同じ場所から全体を観察する習慣を持つことで、「いつもと違う」という小さな変化に気づきやすくなると思います。
その積み重ねによって、「何が違うのか」「どうして違和感を覚えるのか」というアンテナが育つのではないでしょうか。
━━━なるほど。これまで富樫さんに何度もお話を伺ってきましたが、地道な取り組みがやはり重要だと。
そうですね。もちろん、テクノロジーの急速な進化によって、一気に状況が変わるというケースもあるかもしれません。
ただ、それ以外の多くの部分については、地道な取り組みが最終的に鍵を握るのではないかと思います。特に現場においては、その積み重ねが成果を支えているのではないでしょうか。
地道な取り組みを続けることで違和感に気づけるようになり、その違和感に気づける力が、視野を広げるきっかけになる。
そして視野が広がることで、クレーム対応やオペレーターのモチベーションマネジメントなど、さまざまな場面で的確な判断ができるようになります。
その基盤にあるのは、以前お話しした試験の厳格な構築であり、それがSVとしてのベースを作る。しかし、最終的には地道な日々のトレーニングが結果を導きます。