CONTACT CENTER
コンタクトセンター

スーパーバイザー(SV)の役割 | なぜ、試験を厳格にするのか?

更新日:
スーパーバイザー(SV)の試験を厳格にする理由とは?-サムネイル

【要約】サービス品質を支えるのは「人」であるため、試験を厳格にしている。

スーパーバイザー(以下:SV)の役割と育成の厳格な仕組み:SVは、オペレーターの教育や人材育成、進捗管理、業績管理を担い、サービス品質の向上に直結する重要な役割を果たします。WOWOWコミュニケーションズでは、SV候補に対して「筆記試験」「実技試験」「面接試験」の3つの試験を課し、合格した者だけがSVになることができます。これにより、一定の基準を満たしたSVを育成し、品質のばらつきを抑えています。

試験内容のアップデートと背景:SV試験の内容は、会社の方針や中期経営計画に基づいて随時アップデートされています。例えば、AI導入の方針が決まれば、AIの知識や操作スキルが試験内容に加えられることがあります。サービス品質を支えるのは「人」であるため、人材育成を重視し、時代の変化に合わせて試験や育成方法を柔軟に見直し、高い品質を保つ仕組みを構築しています。

人材育成が品質向上の鍵WOWOWコミュニケーションズが育成に力を入れる背景には、サービス品質の向上が重要視されていることがあります。サービスを提供するのは人であるため、人材育成はサービス品質を決定づける基盤とされています。特にSVには大きな期待が寄せられており、徹底した試験運営と育成プロセスによって、育成の質を担保しています。

独自のSV制度

コールセンターの運営には多くの課題が伴います。特に、スーパーバイザー(以下:SV)のマネジメントやサービス品質の向上に頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。

WOWOWコミュニケーションズでは、これらの課題を解決するための確固たる仕組みを整備しています。

試験制度や研修プログラムを通じて、SVとしてのスキルを確実に磨く体制を構築しています。

本稿では、WOWOWコミュニケーションズが実践するSV育成の仕組みを解説します。

スピーカー

富樫 雄太

SNSマーケティング会社、研修会社などを経て、2016年に(株)WOWOWコミュニケーションズへ入社。部門のマネジメントに当たる傍ら、クライアント企業の品質改善のコンサルティング/人材育成/品質調査/フィードバック等を担当。

インタビュアー

原澤 陽

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。登壇実績

SVになるための3つの試験。

━━━まず前提として、コールセンターにはどのような役割の方々がいらっしゃるんでしょうか?

役割は会社によって異なることもあるんですけど、WOWOWコミュニケーションズで言うと、まずお電話を受けてお客様と実際にコミュニケーションをとる「コミュニケーター」や「オペレーター」という役割があります。

その次に、オペレーターやコミュニケーターをサポートする役割として「ラウンダー」という役割があります。

さらに、ラウンダーの上位には「リーダー」という役職があり、そのリーダーの上に「SV(スーパーバイザー)」がいます。

━━━SVの方より上の方は?

SVの上にはセンター長と呼ばれる統括者がいるのが一般的ですね。当社でもそのような構造になっています。

センターの大きさや規模によって多少異なる部分はありますが、WOWOWコミュニケーションズの場合もそのような構造になっていると言えます。

━━━中でもSVのポジションは非常に重要だと思います。現場を重視しながら、上層部とのコミュニケーションも取らないといけない役割だと思うんですが、SVはどのような役割を担いますか?

SVの一般的な定義は、管理監督者という役割になりますね。

具体的には、コールセンターのSVが担っている役割として、スタッフ、特にオペレーターさんのマネジメントが挙げられます。

また、担当するセンターが目標を達成できるよう、進捗管理や業績の管理も行います。こういった点がSVの主な役割と言えると思います。

━━━SVの方々を管理、研修を行っている中で、総じて「ここがやはり重要だ」と感じるポイントは何かありますか?

重要なポイントは多岐にわたるのですが、WOWOWコミュニケーションズで特に重視しているのは、オペレーターの教育や人材育成です。

━━━教育育成というのは、具体的に教育はどのように進められているのですか?

いろいろな方法がありますが、WOWOWコミュニケーションズでは、指導や育成の方法について、SVが誰であってもある程度均一なやり方、一定のクオリティの指導ができるよう、型を整備して共有しています。

その型を基に進めることで、指導の質を担保していますね。

━━━少し意地悪な質問ですが、質を均一化することは本当に可能なんでしょうか?

正直に言うと、完璧に均一にするというのは難しい部分がありますね。

ただ、型を知っているかどうかで個人差が大きく変わります。WOWOWコミュニケーションズとしては、その個人差をできるだけ小さくし、ブレを減らすための仕組みを整えています。

例えば、WOWCOM Collegeでは、SV候補の方に必ず試験を受けてもらいます。

この試験では、オペレーターへの指導育成やフィードバックの方法をしっかりと審査しています。そして、合格した人のみがSVになれるという仕組みを設けています。

独自の教育精度

━━━その試験は、どのような内容ですか?

試験は3種類あります。

1つ目は筆記試験です。ペーパーテスト形式で、SVになる前に受けた研修内容をきちんと理解しているかを確認するものです。

2つ目は実技試験です。これは、オペレーターへのフィードバックや指導育成の方法をロールプレイング形式で実践してもらいます。私たちがその様子を審査し、基準を満たした人が合格できる仕組みです。

3つ目は面接試験です。社内の部長レベルの管理職、例えば人事部長などが面接官を務めます。候補者に対して「SVとしてどういうことをしていきたいのか?」などを尋ね、直接コミュニケーションをとります。

この3つの試験をすべてクリアした方のみが、WOWOWコミュニケーションズのSVになることができるという仕組みになっています。

━━━お聞きしている限り、かなりハードルが高いというか、難関だなと感じます。もちろん簡単である必要はないと思いますが、他社のコールセンターと比較すると厳格に進めている印象があります。実際のところ、他社と比べてかなりしっかりやられているんですか?

そうですね。この取り組みについては、過去にいろいろな講演会などでご紹介したことがあるのですが、その際に「結構しっかり、ガッチリやられていますね」といったお声をいただいたことがありますね。他のセンターと比べても、厳格に進めている部分はあると思います。

参考記事:コールセンターの“高い”応対品質とは?

response_quality_thumbnail

SVの試験を厳格にする理由は「サービスの品質」

━━━では、なぜここまで徹底して取り組まれているのでしょうか?

理由としては、WOWOWコミュニケーションズが特に重視しているのが「サービスの品質」だからです。

サービスを実際に提供するのは人、つまりオペレーターさんです。そのため、人材育成というのは、イコール、その人が生み出すサービスの品質を決定づける活動だと考えています。

したがって、人材育成を担うスーパーバイザーには非常に大きな期待を寄せています。その期待があるからこそ、試験をしっかりと運営し、SVの役割を担える人を選定しているというわけです。

━━━なるほど。現在でも試験内容はアップデートされているんですか?

はい。試験の中身については随時アップデートを加えています。時代やニーズに合わせて、必要に応じて内容を見直し、より効果的な方法を模索しています。

━━━アップデートするということは、何か課題や背景があったと思います。どのような課題や背景を元に、アップデートされていますか?

アップデートを行うタイミングとしては、例えば会社の方針が新しく定められたときが挙げられます。

具体的には、「今後数年間で会社がこういう方向を目指します」といった新しい方針が示されたときに、それを実現するために、コールセンターを担うSVにはどのようなスキルや役割が求められるかをブレイクダウンしていきます。

その結果、SVの方に新たに期待されることが見えてくるので、「では、その内容を試験科目に追加したほうがいいのではないか?」という議論が生まれ、アップデートに繋がります。

━━━なるほど。世の中は常に変化しているので、会社の方針が変われば、その現場での育成内容や品質管理の方法も変わらざるを得ないですよね。

会社の方針や中期経営計画が基盤となっている部分が大きいです。

例えば、仮に今後「会社がAIに力を入れます」といった方針を打ち出した場合、コンタクトセンターにおいてもAIの導入が進み、それを活用することが求められるようになるとします。

その場合、SVにはAIの基本的な知識や操作スキルが必要になるため、試験内容にもAIに関する項目を追加する必要があるかもしれません。

このように、会社の戦略や時代の流れに応じて、試験や育成内容を柔軟にアップデートし続けている状況です。

━━━これまで伺ってきた中で感じたのですが、サービスサイエンスや60項目の評価基準など、根本的なコアは変わらないものの、時代や流れに合わせて徐々に表層部分がアップデートされている印象です。そして、その背景にあるのは常に品質の向上を目指す姿勢であり、その品質を支えるのは「人」であるからこそ、人材育成にこれほど力を入れているということですね。

関連記事:【コールセンターの品質管理】“真”の顧客満足に必要な2つの考え方。

この記事を書いた人

矢尻 真麻

2012年にWOWOWコミュニケーションズ入社。 入社後はWOWOWのSNS/WEBサイト/MAなどのディレクション業務を経験。現在はWOWOWでのノウハウを活かし、新規営業獲得に向けて企画推進中。

メルマガ会員募集中

弊社セミナーや最新記事の情報をお届けいたします。