スーパーバイザー(SV)の研修後、現場で活かす術と起きやすい問題とは?

目次
【要約】ポイントは、OJT期間による密接なフォローの仕組み化
研修後、現場で活かす術と起きやすい問題とは?:SV研修後、学んだことを現場で活かせるかは、適切なフォローが鍵となります。WOWOWコミュニケーションズでは、2ヶ月間のOJT期間を設け、受講者が実践できるようサポート。研修直後にエクセルのフォーマットで目標を設定し、1ヶ月後に中間報告、2ヶ月後に最終報告を提出することで、進捗を確認します。ただし、研修を受けても実際の業務で活かす場面がないと、習得したスキルが形骸化する課題もあります。このため、受講者が学びを意識的に実務へ落とし込むことが重要です。
「座学と現場のズレ」をどのように解消するのか?:座学で学んだことと、現場の業務内容が完全に一致しないケースは珍しくありません。特に、受講者が新たな役割を担う前に研修を受ける場合、「実際にその業務を経験する機会がない」というズレが生じることがあります。WOWOWコミュニケーションズでは、こうした問題に対処するため、研修内容を定期的に見直し、業務の実態に合うように調整。また、参加者同士のディスカッションを通じて、業務のリアルな課題を共有し、学びを深める機会を提供しています。それでも完全にズレを解消するのは難しいため、企業ごとに研修の活用方法を柔軟に設計することが求められます。
SV研修が向いている企業は?:SV研修は、特に管理職のスキルアップや組織のマネジメント力を強化したい企業に向いています。例えば、社内のOJTだけでは育成が十分でない場合や、第三者の視点を取り入れてSVのスキルを体系的に磨きたい企業には効果的。また、組織全体の応対品質向上を目指し、SVを戦略的に増やしたい企業にとっても、研修を活用するメリットがあります。研修の中では、単なる知識習得ではなく、現場での実践を前提としたプログラムが組まれているため、スキルの標準化にも貢献します。企業の成長に伴い、SVの役割が拡大する中、持続的な人材育成の仕組みを求める企業にとって有益な研修となるでしょう。
研修で学んだのに、現場で活かせていない。
スーパーバイザー(以下:SV)の研修で学んだはずなのに、現場で思うように活かせない。実際、座学で理解した内容が、実務に落とし込めるとは限りません。
「研修ではうまくできたのに、現場では状況が違って対応できない」「教わったことを実践したいが、業務に組み込むタイミングがわからない」こうした悩みは、多くのSVが直面する課題です。
では、研修の学びを現場で確実に活かすためには、何が必要なのでしょうか?
本稿ではOJTを活用したフォローアップや、実務とのギャップを埋める仕組みなど、現場で活きるヒントをご紹介します。
研修で学んだことは、本当に現場で実践できているのか?
━━━前回は「スーパーバイザー(SV)の研修とは?AI時代の「研修の存在意義」について。」についてお話を伺いました。 今回は、研修を受けたからといってすぐにできるようになるとは限らないという、研修サービスならではの課題について伺っていきます。
━━━SVの研修を2日間の座学で受講した後、現場で学んだ内容がきちんと実践できているかは、どのように確認されているのでしょうか?
前提として、研修の効果を厳密に測定することは非常に難しいと考えています。
たとえば、WOWOWコミュニケーションズの研修を受けたSVの行動が、研修のビフォーアフターでどのように変化したのかを詳細に追うのは現実的には難しいのが正直なところです。
そこで、効果を測る手段として、まずわかりやすいのは研修終了後のアンケートです。受講者の満足度や、研修内容が実務にどう活かせそうかといった点を確認します。
さらに、SV研修では2ヶ月間のOJT期間があり、その中で実践の進捗を確認できる仕組みを設けています。具体的には、エクセルのフォーマットを用意しており、研修を受けたSVに対して「この2か月間でどのようなことに取り組むか」という目標を立ててもらい、OJT開始時に提出してもらいます。
その後、OJT期間の折り返し地点である1ヶ月目に、一度中間報告を提出してもらいます。この時点で、最初に立てた目標に対してどこまで達成できているか、まだできていない部分はどこか、残り1ヶ月でどう取り組むかを記入してもらいます。
こうしたプロセスを通じて、研修の効果を確認しながら、受講者が実際に行動へ落とし込めているかをチェックする仕組みになっています。
━━━OJTが始まる前に記入してもらうエクセルの内容は、人によって異なるのでしょうか?
もちろん変わります。
SVそれぞれが担当している業務が異なるため、研修で学んだ内容を「自分の業務のどこに活かせるか」を考えたうえで、それぞれ目標を立ててもらいます。
その後、1ヶ月目の中間時点で進捗を振り返り、2ヶ月目の終了時点で最終的にどこまでできるようになったかを記入し、提出してもらいます。
━━━なぜ、最初に目標を記入してもらうように促しているのでしょうか?
研修を受けた結果、単に知識として「わかる」だけでなく、実際に行動に移せているのかどうかを確認するためです。
しかしながら、一人ひとりの行動を毎日横で見守ることはできません。そこで、事前に所定のフォーマットを作成し、受講者自身に目標を立ててもらい、その後の進捗を記録・提出してもらう仕組みにしています。
また、受講者自身の言葉で振り返りを書いてもらうことで、研修で学んだことがどれだけ実務に活かせているか、どの程度「できる」ようになったかを測ることができます。
━━━この仕組みには、受講者の自主性を促す狙いもあるのでしょうか?
そうですね、それもあります。自分で目標を設定し、それに対して行動するプロセスを経ることで、主体的に成長してもらうことも狙いの一つです。
━━━私もこれまでのキャリアの中でいくつか研修を受けてきましたが、こうした仕組みは初めて聞きました。 やはり現場で実践できなければ意味がないですし、その効果を測る仕組みとして、目標を設定し、折り返し地点と終了時点で進捗を確認する。またOJTトレーナーがサポートするというプロセスを導入されているのですね。
「座学と現場のズレ」をどのように解消するのか?
━━━2ヶ月間のOJTプロセスに関する質問ですが、座学で学んだことと実際の現場には、どうしてもズレが生じるかと思います。富樫さんのこれまでの経験の中で、特にズレが生じやすいポイントはどこでしょうか?
よくあるズレの一つは、「研修で学んだことを実務で活かしたいけれど、その機会がない」というケースです。
例えば、WOWOWコミュニケーションズでは、スーパーバイザーになる予定の人に対して、一律で受講必須のプログラムを提供しています。その中には、「現場で研修を実施する方法を学ぶ研修」が含まれています。
ただ、この研修を受けたとしても、実際に職場に戻ったときに、そもそも研修を実施する機会がなければ、せっかく学んだスキルを活かす場面がないということが起こります。
また、すでに研修を担当する別のスタッフがいる場合も、学んだことを実践する機会が限られてしまいます。
さらに、例えば研修後に新しく入社する新人がいなかった場合、そのスーパーバイザーが研修を担当する場面そのものが発生しない、というケースもありますね。
こうした「活かす場面がそもそも存在しない」というズレは、実際によく見られます。
━━━これは大きく言うと組織論や組織図の問題にも関わってくる話ですね。最終的に理想の形を目指すかどうかは、研修を受けた企業の判断次第ですが、私が指摘した「座学と現場のズレ」に関して言えば、理想のフォーマットと採用・雇用、組織の構造とのギャップがどうしても生じてしまうケースがあるということですね。
そうですね。仕事内容と受ける研修の内容が完全に一致しないケースはありますね。
例えば、極端な例ですが、営業の人が経理の研修を受けても意味がないのと同じように、研修内容が業務と合っていないと、せっかく学んでも実際に活用できない、ということが起こります。
また、仕事の内容は時代とともに変化していきますが、研修内容が古いままだと「学んだけれど、実務では使う場面がなかった」というギャップが生じることもあります。
そうしたズレは避けられないですね。
━━━そのズレに対して、WOWOWコミュニケーションズでは研修の内容を調整していくものなのでしょうか? それとも、座学のロジックはロジックとして保持し、現場とのズレはある程度やむを得ないものと判断しているのでしょうか?
これはなかなか難しい話ですが、結論としては両方あります。
研修内容を時代に合わせてチューニングし、アップデートすることは必要です。しかし、一方で個々の業務に寄せすぎると、WOWOWコミュニケーションズとして求める一定の水準からズレてしまうこともあります。
そのため、バランスを取りながら調整していく形になります。
例えば、「このスキルは社内のどこを見てもまったく必要ない」と判断した場合は、その研修を廃止することもあります。
一方で、あるスキルが「A業務には必要ないが、B業務やC業務では必須」といった場合は、プログラムとして残すこともあります。こうした判断をしながら、適切な研修プログラムを維持・更新しているという形ですね。
━━━なるほど。研修サービスではありますが、コンサルティングサービスに近い部分もありますね。
SVが一人増えることのインパクト
━━━OJTの2ヶ月が終わり、一連の研修プロセスを経て仮にSVが育成されたとします。ただ、SVになったことがゴールではなく、むしろそこがスタートです。 そこで質問ですが、これまでの研修や現場を見てきた中で、SV研修を通じ、実際に現場のオペレーションや応対品質が向上した事例について、具体的にどのような変化や成果が見られたか、教えていただけますか?
SVが新たに生まれることで生じる変化は、現場ごとにさまざまですが、例えば単純にスーパーバイザーが1人増えることで、管理の目が行き届く範囲が広がるという効果があります。
これまで手が届かなかった部分の管理が可能になる、という変化が起こることがありますね。
━━━確かに「スーパーバイザーが1人増えた」は字面だけではインパクトが弱いかもしれませんが、実際にはかなり大きな効果ですよね。
特に「もう1人SVがいれば、もっとこういうことができるのに」といった課題に直面しているコールセンターにとっては、SVの増員によって解決できる範囲が広がるというケースが多いです。
━━━なるほど。つまり、単純に「SVが1人増えた=馬力が1増えた」というよりも、既存の馬力に新たな馬力が加わり、それによって掛け算的に数倍の効果が生まれるというイメージですね。
そうです、そのような形で大きな変化が生まれることもあります。
━━━「スーパーバイザー(SV)の役割 | なぜ、試験を厳格にするのか?」にもありましたが、SVの試験を厳格にするという点も踏まえると、字面では「一人増えた」だけですが、その先にある拡張性は無限大とも言えますね。
そうですね。
単純にスーパーバイザーが増えることで「+1」の足し算という側面ももちろんありますが、それだけではなく、その人自身のモチベーションが上がり、努力した結果、周囲にもポジティブな波及効果が生まれる。
つまり、「足し算」ではなく「掛け算」的に影響が広がっていくことがあります。
SV研修が向いている企業は?
━━━研修実施後にアンケートを取られているとのことですが、よくあるポジティブなフィードバックや、特に印象に残ったコメントがあれば教えてください。
嬉しいお声としては、「研修を受けて、仕事で実際に活かせそうだ」というフィードバックはとても励みになります。こうした声をいただくと、研修の意味があったと実感できますね。
また特徴的な点としては、「他の参加者と意見交換ができてよかった」という声が多いことです。
WOWOWコミュニケーションズの研修では、参加者同士が話し合うディスカッションの時間を必ず設けています。講師の話を一方的に聞くだけでなく、参加者同士で学び合う機会をつくることで、新たな気づきが得られます。
そのため、アンケートでも「すごく楽しかった」「実践的でためになった」といった声が多く寄せられています。
━━━確かに、ディスカッションの場を設けることは簡単なようで、実際には難しいですよね。ただの雑談にならず、テーマを持った会話を生み出す仕組みが必要になります。WOWOWコミュニケーションズの研修では、そうした「会話を生み出すギミック(仕掛け)」がしっかり設計されているのが特徴的ですね。
━━━では、最後の質問になります。SV研修について「どのような企業やコールセンターにおすすめか」また「どのような課題を持っている企業に特に向いているか」について、教えてください。
弊社のスーパーバイザー研修は、以下のような企業様に特におすすめです。
- SVの育成を外部の第三者の視点で強化したい:社内で育成を行っている企業も多いですが、第三者の介入によって、普段生まれにくい意見交換の場を作ることができます。
- SVに対して新たな視点や学びを提供したい:これまで社内でOJTを中心にSVを育成してきたが、体系的な研修を通じてスキルの標準化を図りたいという企業。
- 管理職のスキルアップに課題を感じている:「SVを増やしたいけれど、どのように育成すればいいかわからない」「育成のプロセスを整えたい」といったお悩みを持つ企業には、実践的な研修を通じて具体的な育成方法をご提案可能
SV研修を通じて、SV個人の成長だけでなく、組織全体のオペレーションや応対品質の向上を目指したい企業様に、ぜひご活用頂きたいです。
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