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AIではなく“人の目”でお客さまの声を分析する理由。

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AIではなく“人の目”でお客さまの声を分析する理由。_サムネイル

【要約】AIでは人間の感情と文脈を、正しく分析できないため、人の目が必要。

AIではなく、人によるデータ分析の重要性:日本語の文脈や感情の解釈にはAIではなく、人の分析が必要。例えば「やばい」という言葉を、AIは適切にポジティブなのか、ネガティブなのか、2024年時点では判断できない。

データ収集とタグ付けのプロセス:WOWOWコミュニケーションズでは、お客さまの声を定性アンケートで収集後、プランナーがそれぞれの意見にタグを付けて分類する。また分類の客観性を担保するため、複数人かつクライアント企業による分類も実施。(※関連資料:インサイトの見つけ方

分析の多角的アプローチ:人の目による分析はAIにはない多角的な視点を提供し、日本語の文脈を深く理解することで、分析の精度を高めている。これはWOWOWコミュニケーションズがコールセンター事業で培ったきた、独自の“すり合わせ”技術を応用しているため可能となっている。

インサイト抽出における、AIの限界。

AIがデータ分析で主流になっていますが、日本語の複雑な感情や文脈の理解には限界があります。特に、言葉の意味が文脈によって大きく変わる場合、AIの解釈だけでは不十分です。

WOWOWコミュニケーションズでは、AIによる分析だけでなく、人の目を通じてデータを解析。言葉の細かいニュアンスや感情をより正確に捉える方法を確立しています。これにより、より深いインサイトを獲得可能。(※関連資料:インサイトの見つけ方

この手法では、お客さまの意見を定性アンケートで収集し、それに適切なタグを付けて整理。このプロセスを通じて、お客さまの声を深く理解し、適切な対応策を導き出すことができます。

なぜ、AIだけでなく人の目が必要で、どのような手法を実施しているのか?WOWOWコミュニケーションズのコンサルタント、横関さんに聞きました。

スピーカー

横関 彩

2009年にWOWOWコミュニケーションズに新卒入社。 WOWOWカスタマーセンターの業務コーディネートやWOWOWの営業/プロモーション/広告・宣伝などを経て、アナログとデジタルのコミュニケーション設計やCDPの構築・導入・データ分析等を担当。現在はWOWOWで得たノウハウの外販展開を推進中。ポッドキャスト

インタビュアー

原澤 陽

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。登壇実績

AIでは、日本語の文脈を判断できない。

━━━WOWOWコミュニケーションズでは、データ分析においてAIだけではなく人の目による分析を積極的に使っていると伺いました。昨今、AIを活用した分析手法がトレンドになる中、なぜ、人による分析を重要視されていますか?

AIを使われている方々は何となく感じていると思いますが、正直、日本語についてはAIの精度がそこまで完璧ではないと感じています。

例えば、「やばい」という言葉。

これは、文脈によってポジティブにもネガティブにも捉えられます。「やばい、これめっちゃかっこいい!」というポジティブ。「この品質の低さ、やばいな…」とネガティブな意見にも使われます。

「やばい」という単語だけを捉えると、ポジティブなのかネガティブなのか、どっちの意味で使っているのかをAIではまだ判断しきれません。

前後の文脈を読み「なにが、なぜ“やばい”のか」、人の感情を、人が読み解く必要があると考えています。

“やばい”が何に対して、どういう感情で出てるのか。ここを読み解く必要があります。

━━━具体的には、どのように読み解いていますか?

まずは定性アンケートで、収集したいお客さまの声を収集します。その後、WOWOWコミュニケーションズのプランナーが、それぞれの声に対してタグ付けをしていきます。

ケースによりますが、よくあるパターンとしては、エクセルに全ての声を書き出し「この声はタグA」「こっちの声はタグB」といった振り分けを実施します。

━━━それは例えば「このチーズハンバーグは美味しい。しかし、チーズの量が少なかったのが不満でした。」という声があった場合、どのように振り分けますか?

そのケースの場合、例えば下記のようになります。

  • タグA:ハンバーグが美味しい or お褒めの言葉
  • タグB:トッピングに対する不満

上記のようなケースがありえるでしょう。

しかし、さらにお客さまの声を読み込んでいき「トッピングに関する声が多かった場合」、下記のようなケースもありえます。

  • タグA:ハンバーグが美味しい or お褒めの言葉
  • タグB:トッピングのチーズに対する声
  • タグC:トッピングの野菜に対する声

トッピングを一括りにするのではなく、トッピング毎に分析する必要があるかもしれません。

どちらにしても「何かとキーワードとして上がりやすい“チーズ”は、お客さまにとってどうも満足と不満足を決める重要な要因になりそうだ」と、人の目で見ていくことで、要因が見えてきます。

もしかしたら、チーズの中でも「チーズの種類」でさらにタグを細分化する必要が出てくるかもしれません。

このような、お客さまの声が、キーワードの出現数だけでなく、そこに感情の文脈をくみ取った分析がインサイトの抽出に重要であり、AIでは難しい部分だと考えています。

如何にして、“人の目”の客観性を担保するのか?

━━━伺っていると、正直、どのようにタグをわけるかはプランナーによる主観が多分に含まれるかと思います。この点、どのようにして客観性を担保されていますか?

WOWOWコミュニケーションズは元々、コールセンター事業から始まった会社です。

弊社のコールセンターでは“すり合わせ”という作業があります。ここでは「こういうお電話の場合、このように答えましょう。」と、事前にオペレーター同士ですり合わせを行います。

事前にすり合わせをするものの、お電話を繰り返していく中で様々なケースが生まれるため、順次調整していきます。

この技術を応用し、メインのプランナーがタグの種類を定義し、他のメンバーにもタグ付けを依頼します。

ここで、メインのプランナー以外がタグを振り分けていくうちに、自然と「これはタグを分けた方がいいのでは?」「このタグも必要なのでは?」と調整を進めます。

故に、多くのお客さまの声を聞いてきた、弊社のコールセンターの“すり合わせ”技術を応用し、客観性を担保したタグ付けを行なっています。

加えて、タグ付けの途中で分析の依頼元である弊社のお客さまとも相談し、「このような声が集まっています」と共有し、フィードバックをもらうことで、さらにタグを調整していきます。

━━━WOWOWコミュニケーションズのメインのプランナー、そしてメンバーの目。そこにお客さまの目も加えることで、分析の精度を上げているんですね。

最初はプランナーの職人気質なプロの目利きがあるのは否めません。一方、この目利き力がWOWOWコミュニケーションズの特徴とも言えるでしょう。

AIは一つの目しかありませんが、人でしか捉えられない日本語の文脈を、一人だけではなく、多角的に分析することで分析の精度を高めています。

※関連資料:インサイトの見つけ方


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この記事を書いた人

矢尻 真麻

2012年にWOWOWコミュニケーションズ入社。 入社後はWOWOWのSNS/WEBサイト/MAなどのディレクション業務を経験。現在はWOWOWでのノウハウを活かし、新規営業獲得に向けて企画推進中。

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