データ分析はマーケティングの基本!施策の成功率を高める手法とは
マーケティングでは、それまでの経験や直感をいかした施策が成功することがあります。しかし、経験や勘だけに頼りすぎてしまうと主観に偏りがちで、場合によってはギャンブルのようなリスクを伴います。
その点、分析したデータを活用する場合には、客観的かつ多様な視点から施策を立てることができるため、リスクを抑えることができます。また、主観以外の視点からも新たな発想が浮かぶこともあるでしょう。さらに施策実施後の振り返りにも役立つというメリットもあります。マーケティングの成功率を高めるためのデータ分析について、目的に合わせた手法の選び方とそのポイントをお伝えします。
目次
データ分析の重要性
データ分析というと、非常に難しいもので専門家に任せなければできないのではないか、と思われる方も多いかもしれません。しかし、現在では専門外の人でもデータ分析ができるようなツールが多く提供され、データから着想を得るビジネスインテリジェンス(BI)の概念が注目されています。
ビジネスインテリジェンスとは「社員や経営者などが企業内外に蓄積されたデータを独自に統合・分析・加工し、ビジネス上の意思決定に活用するシステムや概念」のこと。
加えて、マーケティングはもちろん、日々の意思決定をデータにもとづいて実行していくデータドリブンという概念も生まれており、年々、データ分析の重要性に着目されるようになりました。
データが重視されるようになった背景のひとつに、ITの発達があります。企業側、消費者側の双方が情報収集しやすくなる一方で、ニーズの多様化から従来のマス広告によるマーケティング成果が出にくくなっているのが現状です。消費者に対するきめ細かい対応が求められるようになる一方で、個々のニーズに対応していくには、経験や勘だけに頼るマーケティングでは追い付かなくなっています。多様化した消費者行動を紐解くためにも、データ分析を行いながら、課題解決の道を探る必要があるでしょう。
データ分析のメリット
データ分析にはさまざまなメリットがあります。代表的なものには、「視覚的に現状を把握できる」、「新アイデアのヒントが得られる」、「マーケティング成果を分析する際の判断基準となり、振り返りが容易になる」などが挙げられます。
ビジネスを改善・成長させるには、まず現状を把握する必要があります。現状をどうとらえるかで、今後の方向性を決定づけられることもあり、直感による判断よりも、客観的なデータを用いて視覚化した方が社内での意思統一にも役立つでしょう。また、多様なデータから、着想のヒントが得られることで、新たな施策につながるアイデアも膨らみます。加えて、分析結果から着想された施策を実施することで、前後の状況が理解しやすく、改善分析にも有効です。データ分析から施策の立案、振り返りをして改善、ふたたび実行というサイクルを回し続けることで、より精度の高いマーケティング施策が立案できるのではないでしょうか。
目的に合わせたデータ分析手法を選ぶ
ビジネスインテリジェンス(BI)が広がるなか、データ分析の実行におけるハードルは下がりつつあります。しかし、だからといって、目的を持たずにデータを集めても意味がありません。データ分析によってどのような情報を得たいのか、目的を明確にして、質の高い結果を導きましょう。それぞれのケース別に、取り入れやすい分析方法を紹介します。
顧客や市場を正しく把握したい
アンケート調査はリサーチの基本であり、顧客満足度の調査や商品の使用感に関するヒアリングなどで広く活用されています。アンケートを実施するうえで意識したいのは、初めから細部を調べるのではなく、全体から細部へと順を追って分析するという点です。まずは、単純集計による全体の傾向を把握し、その後、顧客満足度は上がっているか下がっているか、下がっている場合はその原因は何か、など目的に応じて分析してみましょう。
- テキストマイニング
お客様へのアンケートやインタビュー等で得たコメントを、単語レベルに分割し、それらの出現頻度や相関などを解析することで顧客ニーズを読み取ります。定量調査では把握できない本音の発見につながります。 - クロス集計
年齢と好み、職業と購入金額など、マトリックス図を使いながら属性別に集計し状況を把握する手法です。2~3種類の項目の相関関係や、大まかなトレンドを読み取る際に有効です。
施策案づくりのヒントを得たい
- クラスター分析
異なるものが混ざり合ったデータから、似た性質のグループに整理して分析します。事象や性質で分けて、クラスターごとの特質を見抜きながら、セグメンテーションやブランディングに活用します。
クラスター分析について、詳しくはこちら→ マーケティングの必修科目!クラスター分析とは? - アソシエーション分析(バスケット分析)
ビッグデータを活用し、商品・サービスの相関関係を分析します。例えば、A商品とB商品は同時に購入している確率が高い、実店舗とECサイトでのお客様の行動の違いなど、隠れた関連性を表出化できます。 - ABC分析
重要度に応じてA、B、Cのグループに分け、重点項目を決定する方法です。例えば複数の商品を、販売額を基準としてグループ分けし、重点販売商品を決定する、といった際に活用できます。
未来を予測したい
- 決定木分析
1つの要因に「こういう仮定をしたら、どうなるか」という仮説を繰り返して結果を考える因果関係分析手法のひとつです。分析結果の解釈が容易、かつ分析に用いた仮説の妥当性を判断しやすい点が特徴で、自社商品・サービスの購入見込みが高い人はだれか、満足度やロイヤリティの高い生活者にはどのような特徴があるか、など目的に対する要因を掘り下げる際に役立ちます。 - 多変量解析
複数の変数をもとに、データの相互間の関連を分析する技法です。代表的なものとして、重回帰分析(地域と職業から推定年収を見定める、といった予測に活用)や、主成分分析(セグメント分析や購買動機の分析等に活用)などが挙げられます。
データ分析のポイント
データ分析を行うとしても、基本的にゴールはとてもシンプルです。大きく分けて「質の高い施策を増やす」もしくは「成果の低い施策を改善する」のいずれかでしょう。どちらの課題解決を目指すにしろ、収集した多くのデータから目的達成につながる課題点をいかに抽出できるかが重要なポイントとなります。
データ分析を始める前に、まず意識しておきたいのが、目的を明確にすることです。データ分析によってどのような情報を得たいのか、明確なゴールがなければ、成果につながる結果を抽出するのは難しいでしょう。「分析のための分析」にならないよう、常に目的を念頭におきながらデータ収集・分析を進めていく必要があります。
明確な目的にそってデータを収集し、分析作業を開始します。ここでポイントとなるのは、「比較」と「細分化」です。
比較とは文字通り、他と比べることですが、比較するべき対象を決めておくことも大切です。さらに自社の過去データや競合他社(ベンチマーク)の情報などと比較して、自社の現状は優位なのか劣位なのかなどを、確認してみましょう。データ単体では見えてこなかった課題が、他と比べることで浮き彫りになります。
細分化は、事象を分割して分析していくことです。例えば、営業活動を改善したいと思っていても、現状、どのような点で課題を抱えているのかがわからなければ、対策のとりようがありません。そこで、アプローチ、ヒアリング、プレゼン、クロージングなどに細分化することで、どこに問題があるのかを見極められるようになります。マーケティングにおけるセグメンテーションも細分化の一つです。
データから発想すれば成果のアベレージが保てる
経験や勘といった感覚にまかせた施策の設計は、成果にバラつきがでやすいものです。意思決定にはスピードが要求されることが多々ありますが、拙速な決断は成果がでにくいだけでなく、後にトラブルが発生してしまえば、結果としてビジネス上の勢いを失ってしまう可能性もあるでしょう。データの収集・分析を活用すれば、客観的かつ、より質の高い施策を立案しやすくなります。結果として、成果は安定し、高いアベレージが維持できることでしょう。データの活用を継続するなかで、決断の精度とスピードを高めながら、より良い判断ができるスキルを磨きたいものです。
無料ダウンロードコンテンツ
参考: