ロイヤル顧客を定義する中で苦労したこと。
要約
ロイヤル顧客の定義の難しさ: 多くの企業では、新規顧客とリピート顧客に分けるのみで、ロイヤル顧客の定義が困難。
長期的な取り組みの重要性: 横関さんは、ロイヤル顧客ととの長期的な取組みが成果に結びつくと指摘。
データの活用: 企業内に眠るデータを活用し、根気よく伝えることが重要。
データの集約と分析: ロイヤル顧客を定義するためには、分散したデータを集めて分析する必要がある。
部門間の連携: マーケティング以外の部門との連携がロイヤル顧客の定義作りに必要。
PDCAサイクルの適用: 定義や施策はPDCAサイクルを通して継続的に見直し・改善する必要がある。
現場との連携: マーケティング担当者だけでなく、現場の人々と協力して施策を進めることが重要。
長期的な伴走の必要性: ロイヤル顧客の定義とデータマーケティングの成功には、何年単位での取り組みが必要。
「熱量」の重要性: データマーケティングにおいて、企業や顧客の「熱量」が重要な要素。
企業へのアドバイス: ロイヤル顧客の定義作りには「熱量の高い人」のデータ分析から始めることが効果的。新規顧客獲得への投資を見直すことも推奨される。
全4回にわたって「ロイヤル顧客」に焦点を当て、成果に繋がるデータマーケティングの裏側をご紹介
4.【失敗談】ロイヤル顧客を定義する中で苦労したこと。
動画で聴く
※本編は“WOWCOMポッドキャスト”をテキスト化した内容です。またサムネイル画像およびYouTube内の画像にはDALL·E 3を使用しています。
ロイヤル顧客を成果に結びつけるには数年かかる。
ロイヤル顧客を定義したものの成果に結びつかず、結局、新規顧客とリピート顧客のみでしかセグメントが立てられていないケースは多々あります。
しかし、様々なロイヤル顧客の定義に携わってきたマーケターは「何年単位と腰をすえることで、成果に繋がる」と言います。
成果に繋がるために重要なのは、企業に眠っている熱量の高いデータを掘り起こし、根気強く現場に伝えること。
ロイヤル顧客の定義付けから現場に連携する裏側を知ることで、成果に結びつくデータマーケティングが可能です。
ロイヤル顧客を活かしたマーケティングまでにはフェーズがある
━━━ロイヤル顧客を定義していく中で苦労されたことはありますか?
ロイヤル顧客を定義する最初の段階で、その閾値を決めるために様々なデータを全て集め、読み解く必要があります。
結構、ここが泥臭くて一番時間がかかるところです。
企業の中でデータが各部門に分散してるケースは多い。たとえば、顧客データは基幹システムに入っているが、ウェブの利用履歴はGoogle Analyticsの中に入っており、ウェブの管理部門が持っていますなど。
「売上データはどこにありますか?」といった、データが結構バラバラになっていたりするのでそこをかき集めてきて、分析をしやすいデータを作っていく。
ある一つのキーデータを元に、いろんなデータを繋げていき、どういう違いがあるかを分析していく。
そのため、WOWOWコミュニケーションズだけではなく、クライアント企業さんの中でデータを集めて来てもらう必要があります。この作業が結構大変で、企業全体として「データマーケティングをやるぞ!」という雰囲気になっていないと、苦戦したりするケースもあります。
クライアント企業からすると「あぁ、データってこんなにそろってなかったんだ…」と実感されているケースも多く見てきました。
━━━データを集めてきた後、データを整えていく段階で苦労される点はいかがですか?
やはり、一回で正解が出ない点が苦労します。
何度も分析、施策の実施、フィードバックを獲得、分析…というPDCAを回していく必要があります。「コロナ前後で“ロイヤル顧客の特徴”に変化はあったのか?」で話した通り、“違和感”に気づいたら改善する必要があります。
危険なのは、一度ロイヤル顧客を定義し、それを正解としてずっと取り扱ってしまう。また、データ分析の結果が“魔法の答え”みたく一人歩きしてしまう。このような状態になると、成果には結びつきません。
常に、担当者の方と一緒に作業を進めていく。これらの点が、WOWOWコミュニケーションズとしてだけでなく、クライアント企業さんも苦労される点ではあります。
━━━横関さんが参画されて数年経ったロイヤル顧客の定義に関するプロジェクトについて質問です。数年単位でこのようなプロジェクトを行うと、データマーケティングそのものが形骸化してきませんか?
数年単位で入らせてもらってるプロジェクトだと、フェーズが変わってくるため、あまり形骸化することはありません。プロジェクトのフェーズは下記のように進みます。
- データの収集と整備
- データを見る
- 顧客の定義とKPIを決めていく
- 決めた定義とKPIをマーケティング部以外の部署にも連動させる
- 現場の方々と一緒に施策を回す
- 施策の結果を見直し、定義やKPIを調整
- PDCA
ロイヤル顧客の定義を作ったりするのは、多くの場合マーケティングの部門の人です。実際にサービスや製品を作っている部門ではありません。
なので、データマーケティングをやろうと思って作った定義から、実際のサービスであり、製品であり、より良くしていく活動に繋げていくためにはマーケティングの部門から、それ以外の部門との連携が必要です。
いわゆる現場に、作った定義を持っていき「こういう形でやりたいです」というところの腹落ちできる提案を作り、実際に現場の人と施策を回す。ここまでに、相当な時間がかかります。
まずは“熱量の在り処”を探してみてください。
━━━そうなると、ロイヤル顧客周り、ひいてはデータマーケティングは何年という単位で腰を据えないと、なかなか結果が出ないのでは?
おっしゃる通り、何年単位で考えないと結果が出ないと考えています。
なので、クライアント企業さんとは何年単位で伴走が必要なことを認識いただき、長らくやらせていただいています。本当に、ありがたいです。
「ロイヤル顧客とは?リピート顧客と何が違うのか。」の際に言ったのと同じで、現場の方々はデータだけだと動かない。
マーケティング担当の方が「ロイヤル顧客とはこうです」「こういう顧客群にしたいんです」と現場にお伝えしても、一発で意見が通ることは少ない。
現場の方々は経験に則り、モノを作っていらっしゃる。
そのため、ファンの方やお客さまの“熱量”という声を一緒に現場の方々に届けてあげる。
そうすることでマーケティング部が数字だけで施策を判断しているのではなく「お客さまの声としてこういう定性データが上がっている」というのを一緒に見ていく。
そのデータをもとに一緒に活動をすることでより現場の方達も腹落ちをしやすく、数字と声、この二つを元にデータマーケティングが展開される。
ひいては、データドリブンな組織になっていく。その為にも、お客さまの声、またマーケティング部の“熱量”はすごく大事。
━━━初回から仰ってましたが、データマーケティングというロジカルな施策ですが、やはり“熱量”が、分析においても組織連動においても重要なんですね。
━━━最後に、これから“ロイヤル顧客”の定義に取り組もうとされている企業のみなさまに、アドバイスをお願いします。
恐らく、いきなり「ロイヤル顧客の定義を作りましょう」と言っても難しいと思います。
なので「熱量の高い人がどれぐらいいて、何を言ってるか」というデータが眠っていないか、確認してみてはいかがでしょうか。
また会社のどの段階でロイヤル顧客の定義を作るのがいいかっていうお話をしましたが、「新規顧客獲得だけに投資を続けて大丈夫だろうか?」と、一度見直してみるのもいいかもしれません。
まずは“熱量の在り処”を探してみてください。
全4回にわたって「ロイヤル顧客」に焦点を当て、成果に繋がるデータマーケティングの裏側をご紹介
- ロイヤル顧客とは?リピート顧客と何が違うのか。
- そもそも、ロイヤル顧客は定義すべきなのか?
- コロナ前後で“ロイヤル顧客の特徴”に変化はあったのか?
- 【失敗談】ロイヤル顧客を定義する中で苦労したこと。
ロイヤル顧客の事例
メルマガ会員募集中
コンタクトセンター・データマーケティングに役立つノウハウや事例、
また最新のセミナー情報をお届けいたします。