ユーザーの好みに合わせて商品・サービスを紹介。レコメンドエンジンの活用法
価値観が多様化している昨今では、一般の消費者に向けて画一的な情報を届けるマスアプローチは効果が出にくくなっています。そうした背景から、情報の個別化を図りながら顧客の好みに合わせて商品・サービスを紹介できる、レコメンドエンジンツールの認知度が急激に高まりました。レコメンドエンジンは、ECサイトを運営する企業を中心に多く導入されています。レコメンドエンジン自体は従来からあるツールですが、近年はサービスの種類も増え、より手軽に導入できるようになりました。注目されるレコメンドエンジンの活用法について、あらためて考察してみましょう。
レコメンドエンジンとは?
レコメンドエンジンは、サイトを訪れたユーザーの閲覧記録や動線をもとに、関連の深いと思われる商品・サービスを提案することで購買意欲を高めるためのツールです。Amazonや楽天市場といった大手モール型ECサイトの広告で多用されている、「あなたにおすすめの商品」がサイト内に現れる仕組みが、レコメンドエンジンに該当します。
レコメンドエンジンにはいくつかの種類がありますが、なかでも一般的なのが協調フィルタリングという仕組みです。具体的には「A商品を閲覧した人は、B商品を購買するケースが多いので、B商品を提案する」というものです。詳しい商品紹介が書かれたページを介さずに、ニーズが高いと思われる情報を提供できるという特徴があります。単にA商品の付属品をすすめるクロス提案ではなく、データにもとづいた関連の深い別の商品を提案できるのです。ユーザー側にとっては新鮮な出会いになることもあり、企業側にとっては新たなニーズを引き出す結果につながることもあるでしょう。また、ツールを導入するだけで、関連商品の抽出から提案までがすべて自動で行われるため、人的コストの軽減にも役立ちます。
レコメンドエンジンのメリットと注意点
レコメンドエンジンを導入することで得られるメリットは多くあります。例えば、おすすめの商品を提示することでユーザーの興味を引き、ページビュー数の増加が期待できるでしょう。また、ユーザーが関心を持ってアクセスした最初のページに、関連のある別の商品が提示されることで、さらに別の商品詳細のページへ誘導でき、サイトの回遊率アップにもつながります。さらに、ユーザーにとって関心の高い商品が提案できるため、サイトの直帰率を下げる効果も期待できるでしょう。レコメンドエンジンの導入によって得られるメリットの数々が連鎖すれば、結果としてコンバージョンの向上も見込めます。
そのほか、レコメンドエンジンは手軽に導入できるのも大きなメリットです。通常、このような仕組みを自社で開発しようとすると、莫大な費用が発生し時間もかかります。しかし、近年、レコメンドエンジンツールを提供する企業が増えており、自社の状況に合うツールを比較的安価でスピーディに導入できるようになっています。
レコメンドエンジン導入時の注意点
一方、レコメンドエンジンの導入には注意すべき点もあります。目的を明確にしないままツールを導入してしまうと、求める成果を得ることはできません。導入前に、「A商品のページビュー数のアップ」、「A商品とB商品のセット購入率の増加」といったKPI(=明確な目標)を設定しておく必要があるでしょう。また、アクセス数が不十分なサイトでは、レコメンドエンジンの良さが発揮できません。レコメンドエンジンは行動履歴をもとに関連商品を提案するため、情報量が不十分では的確なアプローチができないからです。まずは一定のページビュー数・コンバージョン数があるかどうかを事前に確認しておくことも大切です。
レコメンドエンジンでできること
レコメンドエンジンツールがもっとも効果を発揮できるのは、ECサイトです。先述したように大手のモール型ECサイトであるAmazonがツールを導入したことで、レコメンドエンジンの認知度は飛躍的に高まりました。Amazonのように自ら探した商品でなくても、顧客自身が必要だと感じていた商品や興味を引かれるサービスが目に留まれば、サイト内の総購買点数の増加につながります。その結果、生涯顧客価値(LTV)の向上が期待できるというわけです。
もちろん、ECサイト以外でもレコメンドエンジンの導入は有効です。例えば、多くの記事が掲載されているニュースサイトでは、サイトにアクセスしたユーザーの傾向に合わせて、関連した別の記事を紹介できるでしょう。また、求人サイトであれば、ユーザーの希望を自動で抽出して任意の求人情報を届けるといったアプローチも可能でしょう。コンテンツが充実したサイトにレコメンドエンジンを導入すれば、過去記事やニッチな記事が埋もれてしまうといったリスクを回避でき、同時に回遊率やコンバージョンの向上が期待できます。
レコメンドエンジンで競合サイトと差別化を図ろう
レコメンドエンジンは、サイト内の行動記録からユーザーの嗜好に沿った商品・サービスを提案する仕組みです。比較的低単価で導入でき、ページビュー数や回遊率、直帰率など重要な指標の改善につながります。また、レコメンドエンジンを活用してユーザーの行動履歴を蓄積できれば、顧客により適した商品・サービスの提案が可能になり、競合サイトと差別化ができるでしょう。自社が運営するサイトの状況を確認しながら、効果的なレコメンドエンジンの活用法を考えてみてはいかがでしょうか。
参考: