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消費者の「本音」から施策を設計しよう。消費者インサイトとは?

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消費者をよく知ることは、マーケティングを成功に導く大切な要素のひとつ。しかし、多くの市場が飽和状態にある現代は、顕在ニーズをとらえただけの施策では、成果を得ることが難しくなっています。

他社との差別化を明確にするためにも、表面的な顕在ニーズを追いかけるだけでなく、消費者自身も気づいていないような深い本音を読み解く必要があるでしょう。今回は、消費者の本音を見抜く「消費者インサイト」についてお伝えします。

本当の「欲しい!」を見抜く消費者インサイト

消費者インサイトとは、消費者自身も気づいていない潜在的な欲求を表す概念です。簡単に言うと「消費者の本音」のこと。

消費者インサイトを理解するために、まずは「ニーズ」との違いを確認してみましょう。ニーズとは顕在している必要性のことで、消費者がすでに自覚している欲求を表します。例えば、「スキルアップを図るために、自己投資をしたい」という欲求があるとします。これは簡単なリサーチでも導出できる「ニーズ」です。しかし、ニーズだけをベースに戦略を立てた場合、表面的なリサーチ結果に頼るため、個々の欲求に深く寄り添った施策にはなりにくく、また多くの企業が参入しやすいため、差別化しにくいというデメリットがあります。
 一方、消費者インサイトは、こうした欲求からさらに一歩踏み込んだ洞察をおこないます。上記のニーズ例に踏み込んだ場合、「終身雇用が期待できない時代に、将来的な個人起業を視野に入れているのではないか?」、「ビジネス上の人脈を広げたいと思いつつ、可能なら恋愛相手を探したい、という欲求があるのでは?」というように、表面上では汲み取れない潜在的な欲求を抽出するというものです。

消費者インサイトは「本音」をベースにして、アプローチ方法を考案していくため、よりお客様の共感度を高めやすくなり、結果として施策の成功率アップが期待できます。

「インサイト」が注目されるようになった背景や具体的な事例については、こちらの記事もご覧ください。→「インサイト」とは?マーケティング戦略に役立つ消費者の心理

消費者インサイトの見抜き方

消費者インサイトを活用する際に、よくある失敗例があります。そのひとつが、「マーケターの主観だけでインサイトを決めてしまう」というものです。マーケターの経験や憶測だけから消費者インサイトを導出してしまうと、具体的な根拠がなく、偏った価値観による判断になってしまう可能性があります。消費者インサイトにおいてもニーズと同様に、ターゲットに関するデータを集め、詳細な分析結果から導出するようにしましょう。

ただし、消費者インサイトを導出する際には、データの取り扱いにおいてニーズ発見時とは異なる対応をしなければいけません。ニーズのように顕在している欲求は、リサーチしたデータを分析すれば、発見はたやすいものです。
 一方、消費者インサイトは、消費者自身もまだ気づいていない欲求を確認するため、データから見つけ出すのは容易ではありません。データをそのまま使うのではなく、そこから洞察して、インサイトを見抜いていく必要があるのです。ニーズは分析して見つけるもの、インサイトは洞察して導出するもの、といえます。

消費者インサイトを導出するプロセス

「データを分析する」から「データから洞察する」にマインドセットができたら、いよいよインサイトを見つけていくプロセスに入ります。

まずは、ペルソナ設定から始めます。ペルソナとは「具体的な人物像」を描きだすもので、ターゲット設定よりもさらに踏み込んだ情報をまとめたものです。例えば、「20代女性」といった漠然とした人物像ではなく、趣味は何か、どんな仕事をしているのか、休日は何をしているのか、など、より具体的な人物像を設定します。顧客像が具体化されるほど、そのインサイトも見抜きやすくなります。

特に注意深く確認したいのが、ペルソナの「態度」と「行動」です。人の本音は態度と行動に現れるため、ユーザーインタビュー、商品利用シーンの観察、ソーシャルメディア分析などを通じて、消費者のデータを集めてみましょう。大切なのは、常に「なぜ」という意識でデータに接することです。「なぜ、このような言葉を発したのか」、「なぜ、このような行動をとったのか」と考察することで、インサイトを見つけやすくなります。

顧客管理のポイント

消費者インサイトを見抜くためには、顧客情報がきちんと管理されている必要があります。自社商品のターゲット像にもよりますが、性別や地域だけでなく、趣味や職業といったライフスタイル項目まで、広く情報を集めたデータベースを活用することによって、インサイトが発見しやすくなります。新たにリサーチしたデータがまとめられず、社内に散在している場合も、濃い情報が抜きだせません。まずは、顧客情報を一元管理し、アクセス性を高めておきましょう。

消費者インサイトをマーケティングに活かすには

インサイトを発見したら、次はどのようにマーケティングに活かすかを考えることになります。商品開発や販売促進・広告宣伝などにおいて、インサイトを取り入れた施策を考えてみましょう。

参考として、大手コンビニチェーンが取り入れた販売促進例を見てみましょう。あるコンビニチェーンで、お客様1人当たりの購入個数について分析したところ、1~3個が大部分を占めていました。そこで得られたインサイトは「コンビニではカゴを利用せず、手で持てる量を購入する」というものでした。得られたインサイトから、カゴを分散配置してカゴの利用率を上げることで購入個数の増加を図る解決策が実施されました。取り組みの結果、買物客のカゴ利用率は上がり、一人あたりの購買個数と購買単価が増加する効果が確認されたそうです。

このようにインサイトはデータそのものではなく、データの結果から「なぜ」を追求して得ていきます。得られたデータから課題を抽出し、なぜそうなったのかインサイトを見抜いて解決策を実施するのがインサイトの基本的な活用法です。この事例のような購買個数の増加といった戦略レベルの課題だけでなく、消費者インサイトはブランドメッセージの開発や新商品の開発など、マーケティング上の様々な課題に対して活用することができます。

売上をあげるには、「客数を増やす」、「購買単価を上げる」、「購買頻度を増やす」方法がありますが、インサイトを活用することで、よりお客様の心理をつかんだ施策に取り組めます。リサーチデータに基づいて、なぜ消費者はそのような行動をとっているのかを考えながら、インサイトを活用した売上アップ施策に取り組みたいものです。

「本音」をベースにしたマーケティングで売上をあげる

顕在化しているニーズをベースにマーケティング施策を組み立てても、差別化できず競争に巻き込まれてしまう可能性があります。消費者にも自覚できていないインサイトを見抜き、「本音」をベースにした施策を設計することで、他社との差別化を実現し、消費者に新しい価値を提供できる施策を提案してみましょう。

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参考:

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