バイラルマーケティングとは?事例から見るメリット
近年、マーケティング業界で話題となっている「バイラルマーケティング」。SNSやYouTubeなど動画が配信できるサービスが普及すればするほど、バイラルとなるコンテンツを作れば業績が伸びる、と期待する企業が増えています。しかし、意外とその本質がよくわからないという方も多いのではないでしょうか? 今回は、改めてバイラルマーケティングとは何なのか、事例を挙げながら詳しく紹介しましょう。
目次
バイラルマーケティングとは?
バイラルマーケティングに使われているViral(バイラル)とは、Virus(バイラス)、日本語の「ウイルス」という単語の派生語にあたります。よって、バイラルマーケティングを簡潔な日本語に言い換えると、「ウイルスのように広まる」マーケティングと表現できます。
バイラルマーケティングを実施する際には、いわゆるウイルス源となるような「バイラルコンテンツ」が欠かせません。急速な勢いで「広がっていくコンテンツ」を配信し、その情報がSNSを始めとしたさまざまなチャネルで広がることで、爆発的な規模でのマーケティングが実現します。
バイラルマーケティング成功の陰には、巧妙に練られた「バイラルストラテジー(戦略)」が見られます。一部のバイラルコンテンツには、「運が良かった」とも思えるケースもあります。そうしたラッキーが存在するのも事実ですが、不確実で再現するのは難しいでしょう。バイラルマーケティングを行おうとするなら、バイラルストラテジーが不可欠です。
バズやインフルエンサーとはここが違う
バイラルマーケティングと混同されやすいもののひとつに、バズマーケティングがあります。「バズ(Buzz)」とは、日本語で「ざわつき、がやがや」などと訳されるもので、口コミを利用したマーケティング手法です。例えば、ターゲットとなる客層に影響力のある人物やメディアにおいて、特定の商品やサービスを取り上げてもらい、トレンドとして注目されるような施策を行います。多くの人に注目してもらうことで、企業や商品への関心を高め、購買のきっかけを生み出すという目的があります。
もうひとつ類似したマーケティングとして「インフルエンサーマーケティング」もあります。インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーと呼ばれる影響力の強い人物に商品やサービスを利用してもらったり、企業紹介をしてもらったりすることで、自社コンテンツに注目を集めるものです。バズマーケティングを成功させるために、インフルエンサーの力を借りるケースもあるため、明確に線引きをするのは難しいかもしれません。
その点、バイラルマーケティングは、まずメインとなるコンテンツが重要視され、特定の有名人やメディアだけでなく、情報を受け取った人すべてが感染源となって、コンテンツの情報を拡散していくように仕掛けるという違いがあります。
バイラルマーケティングの手法とは?
では実際に、バイラルマーケティングを実施するためにはどうしたらよいのでしょうか。
簡単な手順としては、まず企業がオーディエンス市場で人気が出ると見込まれる「コンテンツ」を制作するところから始まります。バイラルマーケティングに利用されるコンテンツは、動画である場合がほとんどです。コンテンツができた後は、企業がインターネット上で配信し、SNSを始めとしたさまざまなチャネルで広がっていくのを待つだけ。
実践手順そのものはとても単純ですが、バイラルコンテンツを生み出すまでに時間や手間がかかります。注目を集めるコンテンツを作るためには、細部にまでわたる市場分析はもちろん、時には数年にわたった念入りな準備期間が必要になるでしょう。
バイラルマーケティング実践時には、市場で「いま」何が流行っているかということは当然として、どのようなコンテンツが受け入れられているのか、どのような動画が求められるのかという、コンテンツ側の調査も必要です。また、コンテンツ配信に向けたオーディエンス獲得への準備も欠かせません。せっかく良いコンテンツを作っても、肝心の自社サイトのアクセス数や自社のSNSをフォローする人数が少なければ、バイラルとしての影響力も小さくなってしまいます。コンテンツを制作するだけでなく、配信先のオーディエンスを用いた「コミュニティ形成」がバイラルマーケティングの準備ではとても大切であることを覚えておきましょう。
事例から学ぶバイラルマーケティング
バイラルマーケティングの成功例としてよく挙げられるのが、2012年に世界中で爆発的に流行ったPSYのカンナムスタイル(江南スタイル)という曲。一見すると韓国の歌手が面白おかしいダンスで一躍有名になっただけの音楽ビデオです。しかし、このコンテンツはYG Entertainmentという、韓国の音楽レーベルが「欧米にK-POPを進出させたい」という目的のために精巧に計算して作られたバイラルマーケティングでした。
オーディエンス獲得に向けた事前準備例
カンナムスタイルのコンテンツ配信をする1年ほど前に、YG Entertainmentはアメリカにオフィスを設立し、will.i.amを始めとした有名アーティストやレコードレーベルとパートナー契約を交わしています。こうした契約内容は一定期間隠されており、コンテンツのバイラル性をさらに加速させるための戦略として、発表のタイミングが決められていました。
同時に、広告などを使わずにSNSのフォロワーを自然と増やすための投資が行われ、カンナムスタイルが配信される前に、YouTubeチャネルへ250万人ものフォロワーを獲得しました。さらに、そのチャネルで配信している音楽動画は25億回もの再生回数を記録し、「アクティブフォロワー」の獲得に成功しています。加えて、配信された音楽動画に出演するアーティストは個別のTwitterアカウントを持ち、それぞれがファンを育んでいます。こうして、YG Entertainmentは、カンナムスタイルの配信をした瞬間から爆発的な拡散を生み出すベースを戦略的に築き上げました。
注目されたコンテンツ内容
配信された動画コンテンツでは、バイラルマーケティングのターゲットである若者層の目を引く「明るい色」を基調にしています。また、韓国語でありながら韓国語圏の人にも楽しく聞こえるキャッチーな歌詞やテンポの良いコーラスなどを取り入れています。また、すでに人気のある韓国のコメディアンやダンサーなどを採用し、彼らのファンにも響くコンテンツとなっていました。PSY自身も韓国で成功しているミュージシャンであり、それがバイラル性の加速に貢献したともいわれています。
動画拡散による結果
念入りな準備を経て配信されたコンテンツは、瞬く間に世界中で爆発的なヒットとなります。多くのセレブたちが自身のSNSで紹介しただけでなく、世界中のニュース番組に取り上げられたり、ギネス世界記録に登録されたりと、すさまじいマーケティング成果をたたき出しました。PSYのカンナムスタイルが注目されるまでは、欧米でのK-POP人気は低いものでした。しかし、2012年以降、BIGBANGやBTSといった韓国人アーティストが欧米進出を果たし、「K-POPを欧米に広める」というマーケティングは大成功をおさめました。
まずは自社の顧客層の分析からはじめよう
事例で紹介したような大規模のバイラルコンテンツを準備したり、制作したりするのは、時間も手間もかかる大変なプロジェクトです。しかし、その分バイラルマーケティングの影響力は大きく、爆発的な購入率の向上につながる可能性があります。コンテンツ制作に向けて、まずは自社の顧客層を分析し、どんなものが好まれ、流行るのかを考えるところから始めてみましょう。
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