【株式会社タカギ】CDP構築から顧客満足度要因の特定。そして、次のフェーズへ。
「弊社が掲げる目標達成への過程の中で、顧客満足度の向上は必須です。しかし、顧客満足度を高めると言っても『そもそも、弊社の顧客満足度はどれくらいなのか?』、現在地が見えていませんでした。」
浄水器事業、散水事業、そして金型事業を展開している株式会社タカギ。
お客様の声がきっかけで開発された業界初の蛇口一体型浄水器は1999年の発売開始以来、20年以上に渡ってお客様に選ばれ続けています。
2019年より、WOWOWコミュニケーションズと共に顧客ロイヤリティ創出を目的としたデータマーケティング、そして、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)導入のプロジェクトを進めてきました。
今回、本プロジェクトの中心メンバーであるマーケティング部 顧客ロイヤリティ推進課 課長の山元氏、デジタルマーケティング課 課長の門脇氏にインタビューを実施。
「WOWOWコミュニケーションズさんと協議する中で、CRM管理システムのデータだけでは、マーケティングを効果的に行うには、不十分だと判明。(中略)結果、お客様が永くタカギ商品をご利用し続けている理由の因子が判明しました。」
2019年より、WOWOWコミュニケーションズとのプロジェクトがスタート。昨今注目を集めるCDPですが、顧客満足度を特定するまでに、どのような話し合いが行われたのか?
お二人に、その“裏側”を伺いました。
なぜ、お客様は永きに渡りタカギを選び続けてくださるのか?
━━━お二人の業務領域を教えてください。
山元氏
私は顧客ロイヤリティ推進課に所属しています。
弊社の商品を定期購買してくださる約180万のお客様に対し、ウェブサイトやアプリなどの顧客接点を介して「どのようなサービス提供をしたら、これからも利用いただけるか?」、ロイヤリティ向上にむけた顧客接点創出と運営を担っています。
門脇氏
私はデジタルマーケティング課に所属し新規のお客様に向けた施策考案を行っています。
山元氏
元々、門脇さんと私は同じチームでした。その時は新規獲得とロイヤリティ領域が一つのチームであり、最近、それぞれの領域に特化すべく、チームを分けました。
チームは変わりましたが、以前から変わらず“お客様にとってタカギがより身近で愛着があり、信頼できるメーカー”であり続けるべく、お客様の入り口から出口まで一気通貫でなければならない。
この信念を元に、領域ごとに特化して動いています。
━━━タカギ様におけるデータマーケティングの位置づけ、難しさ、解決したい課題などについて教えてください。
山元氏
タカギにおけるデータマーケティングとは、“お客様の実質的満足から感情的満足を可視化するために欠かせない客観的なもの”、という位置づけです。
契約から日々のお困りごとに関するお問い合わせの内容、アフターサービス内容、解約理由に至るまで、CRM管理システムで一元化されていることが強みです。
しかし、昨今のIT技術の革新による、顧客ニーズの多様化もあり、CRM管理システムだけではお客様の感情的満足は可視化しにくくなっています。
「お客様はなぜ、他社ではなくタカギの商品を選んだのか?」「お客様はなぜ、タカギの商品を利用し続けてくれているのか?」「お客様はなぜ、解約という選択肢を選んだのか?」。
まず“お客様を知る”ことが解決したい課題でした。
門脇氏
タカギの強みは販売後のお問い合わせ対応や修理まで、インハウスでお客様接点を持っていることです。
もちろん業務効率等改善すべき課題はありますが、同業他社にないやり方を20年間貫いてきたことが現在の顧客維持につながっていると考えています。
ただし、それぞれの接点でのデータは集まっていますが、一つのCDP(カスタマーデータプラットフォーム)にタイムリーに入っている状態にはなっておらず、課題感がありました。
またデータを収集、分析、活用できる人材確保も課題です。宝の持ち腐れになってしまっては意味がありません。
━━━2019年よりデータマーケティングを始められましたが、データ分析を検討され始めた背景、また当時はどのような状況でしたか?
門脇氏
当時、年間で約10万ずつ契約が増えていました。
しかし「はたして、本当に今のやり方であと何年事業として維持できるのか?」「今から考えないと、数年先は厳しい状況になるのでは?」と、組織として、新規のお客様と既存のお客様、それぞれにおいて考え方を変えていこうとしているタイミングでした。
しかし、そもそもどのように考えていいのかわからない。
山元氏
当時、生涯顧客価値KPI化を見据えて、販促費だけでなく、顧客維持コストも見直す必要があるのでは・・・と考え始めたものの、LTV(=生涯顧客価値)の計算式を定める際、経営管理や色々な部署と相談をしたのですが、答えは出ない。
どのように計算、ひいては考えていけばいいのか…このような時、WOWOWコミュニケーションズさんに相談しました。
なぜ、WOWOWコミュニケーションズなのか?
━━━なぜ、当社にデータマーケティング支援を依頼されましたか?
山元氏
はじまりは、一冊の本との出会いでした。
私は“優良顧客を逃さない方法”を読み、門脇さんに貸しました。そして「この考え方、いいね」となり、WOWOWコミュニケーションズさんに連絡をとったのがキッカケです。
門脇さんと私が模索してきた「お客様にとって、より身近で愛着があり、より信頼できるメーカーであり続けるために、何にコストを集中すべきなのか?」「お客様にどのようなメッセージを伝え続けたいのか?」…の答えが“優良顧客を逃さない方法” に書いてありました。
本を読み終えた門脇さんが「すぐにWOWOWコミュニケーションズさんとコンタクトを取りたい!」と行動したしたことを今も鮮明に覚えています(笑)
門脇氏
その当時「目指すべき継続年数は?」「タカギのLTVをどうとらえるべき?」ということ一緒に考えてくださるパートナーさんを探していました。
いわゆるコンサルティング企業の何社かにも相談しました。
しかし「戦略的な部分でのアドバイスならできるが、タカギが希望している支援はできない」と。さらに「タカギの要望に応えられるコンサルティング企業はないかもしれない。」と断られてしまいました。
タカギが求めていた支援は、いわゆる事業会社の中でマーケティング部門がやっていることです。これを可能にするには、事業会社のマーケティングと外販を両立している会社が必要でした。
国内にそういう企業はないのでは…と半ばあきらめていたところ、山元からの情報を通じてWOWOWコミュニケーションズさんの存在を知り、ご連絡しました。
商談時、WOWOWコミュニケーションズの営業の方は物腰柔らかながら、きっちりと進めていただく伴走力と、初回提案で想像の5歩先くらいの提案を頂けました。
WOWOWコミュニケーションズさんにおける事業会社運営と外販の経験、人材のスキル、コミュニケーション力…「もう、絶対に離さない!」と思いましたね(笑)
山元氏
WOWOWコミュニケーションズさんと一緒に仕事をする最大のポイントは、情報の咀嚼力と組織力、そして分析力と期待値以上の提案力です。
私たちのビジネスはB to B to Cの観点もあり、なかなか理解頂けないことが多い。
そこを、タカギのつたない説明と実データを頼りに理解、そして要約してくださる力には脱帽です。
WOWOWコミュニケーションズさんと会話をしていく中で、私たちの使う“データドリブン”や“データマイニング”といった言葉は、本をかじり、読み取って得た情報で、自分の言葉にできておらず、体現できていないことに気づきました。
このような弊社の状況を噛み砕いて傾聴してくださり、WOWOWコミュニケーションズさんの組織力で「タカギさんのやりたいことって、こういうことですよね?」と、提案してくれました。
期待以上の提案力がやっぱ決め手です。ベタ褒めですかね(笑)
門脇氏
WOWOWコミュニケーションズさんの傾聴力は、コンタクトセンターでの業務を経験されている方が多いことも要因の一つなのかなと感じています。
WOWOWコミュニケーションズの方々と話していると「絶対、話聞きますよ!」のような感じがすごく伝わる。
コンタクトセンターに携わる業務があるからこそ、コミュニケーションがやりやすい、といったところはあるのかもしれませんね。
インサイトは定量調査の数字からだと…見えない。
━━━当社を選び続けてくださっているのはなぜでしょうか?
門脇氏
傾聴力、理解力、対応領域の広さにはいつも度肝を抜かれております。
今お付き合いいただいている範囲ではないであろうことも、ポロっとこぼしたワードを拾ってくださり「こんなことやってみましたけどどうですか?」と、まさにお客様のニーズを見逃さず「そこにも手を伸ばしてくれるの!」というありがたさがあります。
同時に、私にとっては弊社が目指す方向の数年先をいかれているので、これから進むべきマーケティングや、それにかかわる人材育成、業務領域など、本当に参考にさせていただいています。
同じ事業部会社であるため、施策のKPIの見せ方や、厳しい市場環境変化への想いが一致することも、ひそかに楽しい瞬間です。
また、失敗したことも教えてくれます。
例えば、ポイント施策をやる時に「アプリのポイントやりますか?弊社はこういう理由でポイント施策やめました…」のようなことです。
リアルを教えてくださるのも、ありがたいですね。
山元氏
WOWOWコミュニケーションズさんを選び続けている理由は“今の活動が次のどういうアクションにつながるか?”までを見越した準備力と提案力です。
WOWOWコミュニケーションズさんと協議を繰り返していく中で、常に「タカギさんは、何をしたいの?」といった目線でいつも見て、色々聞いてくれます。
話しやすい上に「先週お話ししたことを用意してきました!」といった、準備力や提案力に関しては、すごい。お付き合いを続けている理由の一つですね。
具体的には2019年に出会ってから、下記のステップで進めて頂きました。
- LTVの定義
- CDP構築
- 顧客満足度調査の実施
- 顧客満足度因子/不満足度因子の特定
- データドリブンからの施策立案
- ITデータとCRMの統合化
- マーケティングオートメーション
当初は、WOWOWコミュニケーションズさんの得意分野であるLTVの定義、CDP構築のみ、ご支援いただく予定でした。
しかし、WOWOWコミュニケーションズさんと協議する中で、CRM管理システムのデータだけでは、マーケティングを効果的に行うには、不十分だと判明。
顧客満足度因子/不満足度因子の特定まで、ご支援いただき、その結果、お客様が永くタカギ商品をご利用し続けている理由は、下記の因子による因果関係だと判明しました。
- 定期的に届く満足 + 味 + 安全 + サービス の満足度が継続利用の因子
- 体感 + 交換時期の理解 + 交換忘れ防止 の行動が継続利用の因子
このような因子の関係より、施策の方向性が決定したことを覚えています。
協議を進める中で「ウェブと連携した方がいいですよ。」など、話がどんどん先の展開に進んでいくところが、WOWOWコミュニケーションズさんとのお付き合いを続けている理由です。
準備と提案が、弊社の施策に生きています。
なおかつ、夢物語は決して語らないので、着実に施策が進んでいます。
門脇氏
支援開始時の段階で「タカギのお客様アンケートをしましょう」とご提案いただきました。
「なるべく、フリーアンサーで取りましょう。そこは必須です。」と強めに言われた時は「なんでだろう?」と思いましたが…実際に信じてやってみて、本当によかったです。
インサイトは定量調査の数字からだとなかなか見えません。泥臭い部分は泥臭くやる、という部分は非常に勉強になっています。
※関連記事:インサイトを見つける方法とデータマーケティング施策への活かし方
━━━顧客満足度調査をする中で取得された定性データは御社の中でどのように活用されていますか?
山元氏
結論から言うと、中長期計画に採用されました。
弊社が掲げる目標値に対し、プロセスの中で顧客満足度の向上は必須です。しかし、顧客満足度を高めると言っても「そもそも、弊社の顧客満足度ってどれくらい?」と、現在地が見えていませんでした。
これが、私や門脇さんのチームだけでなく、会社全体として活用できたのはよかったです。
次のフェーズは…売上。
━━━目指していた目標に対し、当社との取り組みが与えたインパクトや貢献について教えてください。
門脇氏
タカギのお客様の満足度とLTVに相関があることを実証できたことです。
満足度を上げればLTVが上がることは仮説としてありましたが、以前は誰も証明できませんでした。これを、きちんと実数値で証明できたことはインパクトが大きい。
そして、弊社が目指して上げていくべきKPIを特定したことも大きいです。
「弊社がこの活動を何のためにしているのか?」「どうなれば合格なのか?」という指針にもつながり、私の中では施策実施における判断の軸となっています。
CDP構築が完了し、タカギの中でマーケティング部門が自ら必要な数字を活用して施策を回せる土台ができたことも、非常に大きな一歩です。
私たちが“自分たちで、自分たちの数字を見られるようになっている”のは、大きい成果です。
山元氏
実は、WOWOWコミュニケーションズさんとのCDP構築には失敗談もあります。
CDPを導入する以前にWOWOWコミュニケーションズさんで実績のあるBIを試験導入し、データ連携やLTVを可視化したダッシュボード作成まで実現したのですが…弊社の組織編成やBIの特性などから、活用が進みませんでした。
しかし、このような失敗があったからこそ、活用が進まなかった要因は何か?を考え、弊社に適したCDPを選定することができました。
WOWOWコミュニケーションズさんは弊社が選定したCDPの仕様および機能の習得を行い、CDP・BI構築に尽力いただきました。アウトプットに再現性があり、かなりインパクトがあったことは覚えています。
門脇氏
弊社の課題として、BIを使いこなせる人材がおらず、良いツールが揃っていても、施策が前に進まないことをこの時に体感しました。
このあたりの人材確保は、未だに課題です。
山元氏
いつも社内で話していますが、BIやCDPといったツールは業務に対するパッションや、やる気がないと中々習得されない。
この点、WOWOWコミュニケーションズさんには“データマイニングをしたい、データ分析したい”といったデータに興味を持っている人が多い印象です。
━━━データマーケティング支援サービスの導入前後で、期待値を上回った点は伺えました。一方で、期待値を下回った点はいかがでしょうか?
山元氏
どちらかというとCDPツールそのものに対しての印象ですが、想像したよりも売上が上がらない。
他社のCDP導入の事例で“売上が400%増!”などの言葉を見かけ「すごく儲かるんだな…」というイメージがありました。
ただ実際は、CDPを入れただけでは売上は上がらない。
施策を行う上でのシナリオ設計が肝心だと考えています。
門脇氏
ツールを入れることはあくまでも始まりであり、ツールを使う側、企画側の能力アップも同時に必要です。
逆算の思考回路のできるメンバーが揃わないと施策が加速しないですし、この思考や考え方の部分が大切であると考えています。
━━━今後、当社に期待することについて教えてください。
山元氏
WOWOWコミュニケーションズさんには、マーケティングオートメーション強化を支援いただきたいと考えています。
今年、顧客接点創出を目的にスマートフォンアプリをリリースしました。今後は、アプリとマーケティングプラットフォームを連携させ、顧客情報と行動情報を即時に突合・分析し、意思決定できる精度の情報をアウトプットしていこうと考えています。
そのためには、シナリオ構築、データ連携要件化、実験施策、仮説検証、施策運用化のフェーズでご尽力いただけると幸いです。
また今までの3年間の成果として、売上を上げるということです。期待されるのも厳しいかもしれませんが、もう、完全なビジネスパートナーと思っています。
WOWOWコミュニケーションズのみなさんは“一緒の部署のメンバー”、という感覚なので。
他にも、データマーケティング事例がございます。ぜひご覧ください。
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