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コールセンターの“高い”応対品質とは?

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要約:高い応対品質とは、お客さまが気づいていないニーズを察知し、答えること。

応対品質の「定義」および「質の高さ」を判断:コールセンターにおける応対品質は、お客さまの事前期待を満たすか、それを超える応対を提供すること。その中で、高い応対品質とは、言葉にされていないお客さまの期待に応えること。お客さまが気づいていないニーズを察知し、それに応えることで、顧客満足度が上がります。

デジタル化と応対品質向上の重要性:デジタル化により、簡単な問題はウェブサイトやチャットボットで解決できるため、コールセンターに届くお客さまの声は、難易度の高い問い合わせであることが増えてきています。デジタル化の背景から、応対品質の向上がますます重要となっています。

お客さまの声の活用:高い応対品質は、ブランドイメージの向上に直結します。お客さまがコールセンターで良い体験をすると、その企業に対する好感度が高まり、離反を防ぐ効果も期待できます。加えて、質の高い応対は、より質の高いお客さまの声を集められる可能性があります。なぜなら、応対品質が高いと、お客さまは安心し、結果的に詳細な情報を提供する機会が増え、また、企業にとって価値あるフィードバックが得られるからです。

応対品質の定義、質の高さ、そして、その先にある展開

「コールセンターにて、お客さまの期待以上の応対をできているか?」多くのコールセンター長やSVが「応対品質」の向上に悩まされています。

そもそも「高い応対品質」とは何でしょうか?

WOWOWコミュニケーションズでは、この抽象的な「応対品質」を明確に定義しています。それだけでなく、その先にある「マーケティングへの活用」を想定し、応対品質に向き合ってきました。

本稿では、応対品質の定義、質の高さ、そして、その先にある展開まで解説しています。

スピーカー

富樫 雄太

SNSマーケティング会社、研修会社などを経て、2016年に(株)WOWOWコミュニケーションズへ入社。部門のマネジメントに当たる傍ら、クライアント企業の品質改善のコンサルティング/人材育成/品質調査/フィードバック等を担当。登壇実績 | クレーム応対のプロに学ぶ!お客様の不満を和らげて解決へ導く極意

インタビュアー

原澤 陽

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。登壇実績

コールセンターの応対品質とは?

━━━コールセンターにおける、応対品質とはどのように定義されていますか?

コールセンターにおける応対品質とは、お客さまの事前期待を満たす、または事前期待を超える応対のクオリティと定義しています。

そもそも事前期待とは、お客さまがサービスを受けるときに事前に抱く期待値です。

わかりやすい例えだと、高級レストランに行くお客さまだったら「高級なレストランだから特別な体験ができるはず!」みたいな期待値を持たれます。

サービスを提供している企業は最低限、この期待値を満たさなければなりません。

━━━なるほど。では“高い”応対品質とはどのようなものになりますか?

様々な考え方がありますが、WOWOWコミュニケーションズで考える“高い”応対品質というのは「お客さまが言葉にしない期待に応えること」です。

先ほど述べた事前期待の中には、「高級なレストランだから特別な体験ができるはず!」などの明確に存在している事前期待と、お客さまが言葉にしない期待値があると考えています。

要は「自分では気づいていない期待値」です。

そのような事前期待も、電話を受けているオペレーターが察知し、お客さまに対して「こういったところはございますか?」「こういった内容や商品もございますけども、ご興味ございますか?」など、少し先回りした提案だったり、お客さまに対する声かけが大事です。

この「少し先回り」した応対に、お客さまは感激されるかもしれません。

そしてこれが、品質の高い応対ではないかと考えています。

━━━応対の前に、ある程度お客さまの心情を推測して応対できてる状態が“高い”応対品質ということでしょうか?

そうですね。例えば、お客さまの話し方、声色、声のトーンなどから察知する。お客さまを想像し、「あれ、もしかしてお客さまがしてほしいことはこういうことなんじゃないかな?」「お客さまが本当に知りたいのはこういうことなんじゃないか?」など、お客さまが言葉には出していないんですけども、口ぶりや声のトーンからオペレーターが察する。

察した結果、お客さまに適した提案や情報提供ができると、お客さまは喜んでくれるのではないでしょうか。

かゆいところに手が届くじゃないですけども「ああ、そうそう、それも知りたかったんです!」「そんなことを教えてもらえて、すごい助かります!」など、そういう”電話してよかった”と思えるような、お客さまのお気持ちを想像した応対が体験が実現できると、“高い”応対品質と言えるかもしれません。

例えば「WOWOWをお申し込みいただいたのは、何を期待していただいてるんだろう?」「どういうことを楽しみにされてるんだろう?」と、お客さまを想像するのは、高い応対品質を実現する上では欠かせないことです。

━━━お客さまのお気持ちを慮っての応対。人間のコミュニケーションの基礎みたいな部分を徹底することが、結果的に、応対品質の高さに繋がる…やはり、基礎の徹底が質を生むのですね。

年々、コールセンターにお問い合わせいただく内容の難易度が上がってきています。

なぜなら、簡単な用件はウェブサイトのコンテンツ、チャットボット、FAQなどを通じ、お客さま自身で解決できるようになってきているためです。

一方で、それでも解決できなかった用件がコールセンターにかかってきます。そうなると、自己解決できなかった内容なので、難易度も高く、複雑なお問い合わせが増えてきます。

そういうお問い合わせに応対していると、やはりオペレーターのみなさんがいっぱいいっぱいになってしまいがちです。

そうすると、どうしても余裕がなくなってしまう。

結果、お客さまの気持ちや状況を想像するのが難しくなる場面があります。ただ、それでもスキルの高いオペレーターの方ですと、ちゃんとお客さまの状況や気持ちを想像して応対されます。

顔が見えない電話応対だからこそ、しっかり想像力を働かせて、お客さまのご期待を想像して、そのご期待に応える。

そのための電話応対ができていると、応対品質としては高いと言えるのではないでしょうか。

━━━デジタル化によって、解決手段が増えてきている。トレンドとしては手段が先行している昨今ですけど、やはり、難しい用件に関しては、人がいまだに応対されている。加えて、難易度が上がり、品質のレベルも問われているのが現状なんですね。

コールセンターが「応対品質を高めたい」背景とは?

━━━そもそも、なぜコールセンターは応対品質を高めたいのでしょうか?

理由はいくつかありますが、2つ、代表的な理由をご紹介します。

1つ目は、ブランドイメージです。

お客さまがコールセンターに問い合わせをして、そこで受けた応対の品質が高いと、少なからず「その会社に対するイメージが下がること」はないでしょう。

または「電話してよかったな」「いろいろ親身になって応対してくれたな」と思えば、その会社、ひいてはブランドに対する好感度が上がる、ないしはポジティブなイメージになる可能性があります。

そういう意味で、応対品質はブランドイメージにとってすごく大事です。

また、お客さまの離反を防ぐ効果もあります。

こちらの調査結果では、「お客さまは、嫌な体験を2回すると、他の会社のサービスに乗り換えるリスクが70%以上高まる」といった結果がでています。

応対品質がよければ、ブランドイメージの維持または向上。応対品質が悪ければ離反のリスクがあります。

━━━確か、何事においても1回目の失敗は許容できますが、2回目の失敗は「前もあったよね?」という心情になりますね。

想定しなければならないのが、コールセンターにお問合せ頂いたタイミングは、もしかしたら「2回目の嫌なこと」かもしれないことです。

例えば、とあるアプリケーションを使っていて「アプリケーションの使い方が分からない…こういう操作をしたいんだけども、どうすればいいのだろうか…」と、お問合せをいただく前にすでに「1回目の嫌なこと」があったとします。

そこで、使い方を知りたくてコールセンターに電話した。そこで、コールセンターのオペレーターから良くない応対をされると「2回目の嫌なこと」となります。

そうすると「もうこのアプリケーションはいらない。他社のアプリケーションを使おう。」と、知らぬ間に乗り換えられてしまうこともあります。

━━━コールセンターが応対品質を高めたい理由の一点目がブランドイメージ。2点目は、何になりますか?

2点目は「質の高いお客さまの声を集めるため」です。

お客さまの気持ちとして、質の高い応対を受けると「安心できるな」「話しやすいな」となり、オペレーターからの質問に対する返答率も高まる他、その返答の質や量も向上する可能性があります。

例えば、サービスや製品を使った時の感情や詳細を饒舌に話してくださる。

一方、品質の低い応対をされると、お客さまの気持ちとしては不愉快と言いますか、決して気持ちが良いものではありません。

結果「できるだけ早く会話を終えたい」となり、オペレーターから聞かれたことがあっても、必要なことしか答えない。一問一答みたいになり、最低限の会話をして電話が終わります。

そうなると、お客さまの声が集まらない。情報がとれたとしても、内容の薄いものばかりになってしまいます。

━━━なるほど。応対品質が低いと、お客さまの声の“量”はとれたとしても“質”は取れないわけですね。

お客さまの声は、大きく2種類あると考えています。

1種類目は、企業が取りにいった声。

例えば、グループインタビューで来てもらった方に、こちらがあらかじめ用意したインタビュー項目に回答して頂いたお客さまの声。

2種類目は、お客さま側から来た声。

例えば、コールセンターに掛かってくるお電話は、お客さま側からいただいてるお声です。企業が聞いたわけではなく、お客さまが何かサービス、商品を使ってて分からないこととか、困ったことがあって電話をくださっています。

━━━2種類目は、事業にとっては非常に嬉しいですね。自社が気づいている課題や問題点は、アンケートで聞けます。しかし、自社が気づいていない課題や問題点は、お客さま側から来た声でないと気づかない。この「自社が気づいていない」点を取得するのが、コールセンターが応対皮質を高めたい背景なんですね。

WOWOWコミュニケーションズは、マーケティングにおいて「お客さまの声」を重要視しています。

より質の高い「お客さまの声」を集めるためには、やはり、品質の高い応対でお客さまにお喜びいただくことは不可欠です。

━━━なるほど、総じて「人の気持ちを慮る」というのは、非常にシンプルながらも重要ですね。

そうですね。特にコールセンターは定性情報を集めるタッチポイントとして、「お客さま気持ち」の部分はすごく重要です。

関連記事:【コールセンターの品質管理】“真”の顧客満足に必要な2つの考え方。

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この記事を書いた人

矢尻 真麻

2012年にWOWOWコミュニケーションズ入社。 入社後はWOWOWのSNS/WEBサイト/MAなどのディレクション業務を経験。現在はWOWOWでのノウハウを活かし、新規営業獲得に向けて企画推進中。

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