“お客さまの本音”で施策を変えた事例3選
目次
【要約】“お客さまの本音”を定常的に獲得しなければ、企業の訴求とニーズにズレが生じる
WOWOWの事例: コロナ禍で「癒し」を求める声が増えたことが分かり、戦略、施策、番組編成を実施。
大手学習塾様の事例:塾の差別化要素である「成績を上げたい」「駅や学校から近い・通いやすいという立地面が強み」ではなく、親目線による本音がわかり、企業の価値が明確化された。
株式会社エフエム東京様の事例: コンテンツの視聴きっかけに関する予想と実際の結果にズレがあり、顧客獲得戦略の変更につながった。
なぜ企業の予想と本音はズレるのか?: 企業側の予想と実際の回答にズレが生じるのは、製品やサービスの利用方法を完全に予測できず、また情勢で本音が変わるため。重要なのは定常的なアンケートの取得と分析であり、お客さまの本音に耳を傾け、ニーズと企業の訴求にズレが生じないようにすることが重要。
※本編は“WOWCOMポッドキャスト”をテキスト化した内容です。またサムネイル画像およびYouTube内の画像にはDALL·E 3を使用しています。
“お客さまの本音”をビジネスに活かす
企業が常に求めている“お客さまの本音”。言葉にしにくい潜在的な思いや感情を捉えることは、容易ではありません。
そこでWOWOWコミュニケーションズでは、情勢やビジネスモデルを鑑みた定性アンケート調査により、的確に“お客さまの本音”を獲得し、事業に応用しています。
本稿ではWOWOW、学習塾、株式会社エフエム東京様の事例を元に“お客さまの本音”をビジネスに活かした事例をご紹介します。
なぜ、企業側が予想していた回答と実際の回答はズレるのか?
━━━前回は「“お客さまの声”取得の習慣や仕組み化に重要なこと。」について伺いました。伺っていて気になったのが「本当に本音を聞き出せているのか?」という点。人間が潜在的に思っていることや感じていることを言語化するのは難しいと思いますが、定性アンケートでお客さまの本音は聞き取れますでしょうか?
聞き取れていると考えていますが、それが「本音かどうか」というのは、回答した本人ではないので分かりません。重要なのは、アウトプットとして出てきたお客さまが実際に感じている事実を正とし、施策などに活かし、効果検証することです。
“お客さまの本音”の中には、企業側が「〇〇のように感じてくれていたらいいな」ということに対して、実際にお客さまが「〇〇のように感じてくれている」というような予想通りの本音を獲得できることもあります。
一方で、企業側が予想していない“お客さまの本音”を獲得することも度々あります。
※参考記事:インサイトを見つける方法とデータマーケティング施策への活かし方
━━━なぜ、企業側が予想していた回答と実際の回答でズレが生じますか?
企業側は「プロダクトを〇〇のように利用して欲しい」「〇〇みたく使われるであろう」という風に、制作の段階でペルソナ等を決め、どういう人に対して製品を作るかを決めた上で、製品やサービスを市場に送り出しています。
しかし実際に使った人がどのように感じるかは、やはり制作の段階ではわからず、市場に出すまでわかりません。
ポイントは、市場に出した後も定常的に“お客さまの本音”を聞き取る施策を続けること。情勢が変わったことで、本音が変わってくることもあります。
【WOWOWの事例】情勢でお客さまが感じる価値は変わる
━━━“お客さまの本音”を戦略や施策に応用した事例はありますか?
WOWOWですと、コロナ禍で大きく生活様式が変わった中でアンケートをとった際に、以前から定期的にファンの方に向けて行なっているアンケートと比較し、WOWOWに対する印象に変化がありました。
それは、以前は無かった“癒し“というキーワードが入ってくるようになったこと。
特にWOWOW側も、編成や番組の制作の中に“癒し“の要素を入れて届けているつもりはありませんでした。
ただ情勢が変わったことで、お客さまご自身がWOWOWに対して今まで思っていなかった価値に気づき、企業側が意図していない価値を見出してくださいました。
世の中的に“癒し”を求めているという人々の気持ちの変化があるということと、逆に、今まで通り変わらずに楽しいものをエンターテイメントとして送り届けることが間違いではないんだという判断ができます。
この価値の変化に気づいていなければ、お客さまのニーズとは異なったコンテンツや訴求内容となっていたでしょう。定期的に定性アンケートを取得、分析する重要性に改めて気づいた瞬間でした。
これにより、番組の制作陣はお客さまの気持ちを受け取って、その後の編成等に活かしていくことができました。
※参考記事:コロナ前後で“ロイヤル顧客の特徴”に変化はあったのか?
【大手学習塾様の事例】お子さんだけでなく、親御さんにも価値提供が必要
━━━他にも、本音から戦略や施策を変えた事例はありますか。
学習塾において、親御さん向けに定性アンケートを行ったケースがあります。
結果、運営側が元々想定していなかったようなキーワードが見つかりました。それも、どの親御さんからも同じキーワードが出てきました。
元々、塾なので「成績を上げたい」「駅や学校から近い・通いやすいという立地面が強み」としたキーワードが出てくるかと想定していました。
ただ、実際は「塾に行った時の親視点における感情や気づきに関する回答」が多く、成績や立地とは別の価値を求めていることが見えました。
これにより「塾はどのような価値を、子供だけでなく、親にも提供しなければならないのか」を定義。これがわかっていなければ、親御さんが求めている価値とは異なる価値を訴求してしまいます。
「こんなキーワードが出てきていますよ」というのを学習塾のマーケティング担当の方等にお見せしたら、目から鱗と言いますか「こんなことを思われていたのか…」驚かれてましたね。
※参考記事:“お客さまの声”の集め方。最後は数万件を「人の目で見る。」
━━━子供だけでなく、親の気持ちにも応えなければならなかったわけですね…なぜそのような結果になったと考えられますか?
お子さんと親御さんでは、見ているポイントと不安解消となるポイントが異なるためだと考えます。
学習塾なので「お子さんが喜ぶことこそ価値である」と考えていました。もちろん、これはこれで重要です。
ただ、実際に学習塾の費用を負担して送り出すのは親御さんなので「親御さんが喜ぶ価値」も考慮しなければならず、この価値を満たさなければ「費用を支払う」というアクションには至りません。
学習塾の運営側は、子供が受験に受かりやすいようなカリキュラムに投資していました。ただ必要だったのはそれだけではなく「親御さんが安心できるようなサービス」がなければならないことがわかりました。
カリキュラムも含めて、親御さんを安心させるというのが非常に大切だった、ということです。
>>大手学習塾様の事例はこちら
【株式会社エフエム東京様の事例】“お客さまの本音”をマーケティングに実装する仕組み作り
━━━他にも事例はありますか?
株式会社エフエム東京様のパターンですと「何がきっかけでコンテンツを見始めてくれたのか」「なぜ見てくれるのか」といったことをアンケートで取った際、元々企業側が想定していたきっかけとは違うものや、とあるチャネル媒体からの流入が多かったことがわかりました。
そのため、特定チャネルからの顧客獲得戦略をどうするのかに注力をし、実際にそのコンテンツを利用してくれている人の数を増やしていく施策に繋がったケースがあります。
また「施策をやったら終わり」の状態にならないよう、KPI設計および制作現場で運用される仕組み作りを支援させて頂き“お客さまの本音”をマーケティングに実装する仕組みができました。
━━━データを基盤とした仕組みと考え方が根付いていますね。意識されていたことはありますか?
岩井氏
導入当初から意識していたのは「ちゃんと制作現場で実運用されるデータを用意すること」そして「データマーケティングを行うことで、経営に少しでもプラスの効果を出すこと」。
単純に「研究しています」「なんとなく番組が良くなりました」ではなく、データマーケティングのその先に明確な結果が必要だと考えていました。この業務のミッションを与えられた際の担当役員から「結果」を求められていたので、そこは絶対に外したくないと考えていました。
その一つが制作部のプロデューサー陣と一緒に叶えた「10期連続聴取率首位」の結果であり、「番組をIPと捉えた番組発イベント」による番組の初マネタイズです。
「聴取率がいい」の先に「いい番組は稼ぐことができる」があると信じ、各種データから当たりをつけた番組でイベントを実施しました。結果、チケット販売、グッズ制作などで興行的にも成功しました。
これもデータマーケはヒントを見つけることしかできません。成功要因はデータを信じてくれた番組プロデューサー、MDプロデューサーをはじめとした多くの関係者の協力あってこそです。作り上げた番組スタッフ全員で喜びを分かち合えてよかったですし、そのイベント結果を逐一データ化してくださった御社スタッフにも感謝しています。
引用元:【株式会社エフエム東京】データマーケティング導入から4年…その成果とは?
情勢によって“お客さまの本音”は常に変化します。これに気づかなければ、お客さまのニーズとは異なった訴求をし続けてしまう可能性があります。
そのため、定常的に“お客さまの本音”を取得することが、どのビジネスにおいても重要だと我々は考えます。
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